「血尿」が出る原因はご存じですか? 考えられる病気や対処法も医師が解説!
血尿が出たときの対処法
編集部: 血尿が出たらどうすればいいのでしょうか? 北島先生: 血尿が出たり、健康診断などで陽性反応が指摘されたりしたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。泌尿器科では精密な尿検査のほか、「超音波検査」もおこなって血尿の原因を確認します。 編集部: 精密な尿検査では、どのようなことを調べるのですか? 北島先生: 例えば、尿に含まれる赤血球や白血球の数値を調べる「尿沈渣(ちんさ)検査」をおこないます。また、「尿細胞診検査」で尿中にがん細胞が含まれているかを調べることもあります。 編集部: 検診などでおこなう尿検査よりも、さらに細かいことがわかるのですね。 北島先生: はい。尿沈渣検査では尿路上皮細胞を直接見ることができるので、異形細胞があるかどうか、すなわち、がんがあるかどうかを調べることもできます。場合によっては、尿沈渣検査は尿細胞診検査よりも精度が高く、がんの有無を見つけられることもあります。 編集部: 一方、超音波検査ではどのようなことがわかるのですか? 北島先生: 腎臓や膀胱、前立腺などを超音波で観察し、腫瘍や結石の有無、前立腺の大きさ、膀胱内の残尿量などを調べます。なんらかの疾患が疑われた場合には、腎炎の有無を調べる血液検査や尿生化学検査、腫瘍や結石を確認するCT検査やMRI検査、膀胱内を直接観察する内視鏡検査など、必要に応じて詳細な検査をおこないます。 編集部: 様々な検査が必要なのですね。 北島先生: そうですね。これらの検査は侵襲性が少なく、体への負担がほとんどありません。そのため、特に構えることなく、気軽な気持ちで受診していただければと思います。 編集部: 原因を確認してから治療を始めるのですね。 北島先生: はい。特に肉眼的血尿は、がんをはじめとする重要な疾患のサインとされています。早期発見が最大の治療効果を生むのは、医学が進歩した今でも変わらない大原則なので、症状が重くならないうちに治療をおこなうことが大切です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 北島先生: 血尿が出たのが一度だけでも、そのまま放置せずに泌尿器科を受診することが大切です。特に40代以降の男性で、喫煙習慣のある人は「尿路悪性腫瘍」になりやすいので、1回の血尿でも検査をした方がいいでしょう。その際、かかりつけの泌尿器科でもいいのですが、より精度の高い結果を得るためには、「尿沈渣検査をおこなっているか」と「内視鏡の設備が整っているか」の2点に注意し、受診先を選択するのがおすすめです。