「過呼吸で大豆バーしか喉を通らない」仕事で精神的に追い詰められた女性を救った先輩の「ひと言」と芸人転身の大胆決断
子どものころからずっと周りを笑わせる盛り上げ役で、学生時代は学園祭で企画から出し物までこなし、ステージではダンスを披露したりして。友だちに、「エンターテイナーだよね」と言われ、すごく嬉しかったんですね。ロジカルに物事を考え、よそいきの声でプレゼンするよりも、ひょうきんな私を思いきり出して、人前で表現するほうが、よほど自分らしいと気づきました。 ずっと「いい学校に入って、いい会社に入ること」がまっとうな人生で、芸人になるなんて現実味のない話だと思っていました。でも、高校を卒業するときのサイン帳を見たら、「将来は芸人になっている」と書いていたんです。きっと心の奥底では、ずっと憧れがあったのでしょうね。そこで、ワタナベエンターテインメントのお笑いの養成所の門を叩きました。
■分厚いパンフレットを見て「この事務所に応募しよう」と決めた ── お笑い養成所はいろいろありますが、なぜそちらに決めたのですか? 石井さん:お笑い養成所に通うことを検討しはじめたのが5月くらい。最初に、よしもとのNSCに電話したのですが、すでに4月にスタートしていて、来年まで申し込みを待たなければなりませんでした。人力舎やサンミュージックも同じでした。 私のなかで「芸人になる」というのは嘘みたいな決断だったので、気持ちの勢いがあるうちに決めてしまいたかったんです。調べてみると、ワタナベエンターテインメントと松竹芸能には秋入学があると知って、パンフレットを取り寄せることに。そうしたら、ワタナベエンターテインメントのほうがぶ厚くて豪華なパンフレットだったので、「よし、こっちだな」と。
── 意外とシンプルな理由なのですね。マッキンゼーでのロジカルさは、いったいどこへ(笑)。 石井さん:芸能界はすごく怖いところというイメージがあったので、とにかく信頼できる会社がいいなと。パンフレットの分厚さからして、ちゃんとしている会社に違いないと思ったんです(笑)。あと、私はピン芸人になりたかったのですが、ワタナベエンターテインメントには、青木さやかさんやイモトアヤコさん、にしおかすみこさんといったすでに活躍されている方がいらしたのも、決め手になりましたね。マッキンゼーを退職するときには、養成所の合格証を添付して、全社員に一斉メールしました。