「過呼吸で大豆バーしか喉を通らない」仕事で精神的に追い詰められた女性を救った先輩の「ひと言」と芸人転身の大胆決断
週末になると過呼吸になり、ストレスで体がパンパン。だんだん食事がのどを通らなくなり、朝、大豆バーを1本食べたら終わり、という生活に。あるとき、心臓のあたりがキュッと締めつけられるような痛みで夜中に飛び起きることが続きました。当時は循環器内科に行ったので原因がわかりませんでしたが、10年後に十二指腸潰瘍の跡が2つあると言われたので、そのときできたものなのではないかと思っています。
■「死んだほうがラクかも…」思い詰めていたときに聞いた先輩のひと言 ── 気持ちが追いつめられ、体が悲鳴をあげたのですね。 石井さん:いま思えば、「私には合っていないのでプロジェクトから降ろしてください」と言えればよかったんです。でも当時は「ここで評価されなければ」と思うあまり、できませんと言えなかったんです。「ついていけない私がダメなんだ。もっと優秀ならできていたはず。努力がたりないせいだ」と、自分で自分を追いこんでしまいました。つねに成果を求められ、シビアな評価にさらされ続けるプレッシャーで、どんどん気持ちが萎縮していく。苦しかったですね。
そんなとき、尊敬する先輩に「なぜそんなに結果が出せるのですか?」と聞いたんです。そうしたら「俺の居場所はここだけじゃないと思ってるから」とサラリと言われ、衝撃を受けました。「自分にはここしかないから、絶対いい結果を出さなきゃ」と思うほど、余裕をなくして力んでしまい、パフォーマンスが落ちていく。「いまいる場所がすべてではない」と言いきれる先輩はすごいなと。ただ、当時は先輩の言葉を素直に受け入れられず、「私は絶対にマッキンゼーで評価され、ここに残るんだ」と、かたくなに思っていたんです。
でも、どんどんメンタルが不安定になって、そのうち、「いなくなりたい。死んだほうがラクかもしれない」とまで考えるようになってしまいました。 ── つらい経験をされたのですね。そこから一転して、会社を辞めて芸人になることを決意されます。どんな心の変化があったのでしょうか。 石井さん:極度の精神状態まで追い込まれたことで、「死のうとまで思ったのだから、失うものは何もない。どうせ死ぬのであれば、本当にやりたかったことに挑戦してからにしよう」と思ったんです。本当にやりたいことってなんだろうと考えたときに、一番に思い浮かんだのが芸人でした。