藤田菜七子元騎手ら「スマホ不適切使用」でルール厳格化も防げなかったワケ… “他競技より甘い”の声もJRAはさらなる対策の方針
そもそも八百長防止の一部にすぎない
ここまで、中央競馬における通信機器持ち込みルールの現状と他競技の例を取り上げたが、結局のところ通信機器の制限は八百長防止に対する策の“一つにすぎない”ことを忘れないでほしい。 たとえば競馬ならば「パドックで指を1本立てていたなら八百長をする」といった合図を取り決めておけば、通信機器がなくても八百長を実行できてしまう。あくまでも、通信機器の制限は八百長をしにくくすること、ひいてはファンに八百長を疑わなくてよい環境を提供するものだ。 もっと厳しくしたいのであれば、法律で通信機器の不正使用そのものを刑罰にしてしまう手もあろう。だが結局は、八百長そのものを防ぐには騎手・選手が不正に手を染めないよう規制をするか、指導するかのどちらかしかないのである。 筆者はファンの信頼が落ちている現状では規制を厳しくするしかないと考えているが、もともとは規制を緩めてほしいと思っていた。前述の通り、規制があるからといって直ちに八百長そのものを防ぐことにはならないし、今年のジャパンカップのようにせっかく外国馬が多く参戦しても、世界の競馬関係者から「日本の競馬はめんどくさい」と思われるのではないか、遠征を避けられはしないか、との懸念があるからだ。 しかし、現状ではそんなことも言ってはいられないのだろう、残念である。 ■佐藤永記 公営競技ライター・編集者・配信者。ギャンブラー時代に4公営競技を広く探求した経験を活かし、15年に及ぶネット配信活動やテレビ・ラジオ出演、執筆活動で公営競技の面白さを伝え続けている。Xアカウント@signalright
佐藤永記