チョイ役まで豪華すぎる濃厚キャスティング! 永野芽郁と佐藤健のW主演、細胞役に総勢7500人のエキストラ 映画「はたらく細胞」
【渡邉寧久の得するエンタメ見聞録】 37兆個。人間の体内の細胞の数をスケール感たっぷりに描くために、細胞役として総勢7500人のエキストラを動員したという。その効果は、冒頭の巨大な船のような肺の場面に表現され、観客のワクワク感を刺激する。 13日公開の映画「はたらく細胞」。原作は同名漫画。細胞を擬人化し、体内で起きていることを分かりやすく伝えたヒット作で、アニメ化を経て、今回実写化された。メガホンをとったのは武内英樹監督。「翔んで埼玉」シリーズなどを手掛けたエンタメ映像の魔術師だけに期待は高まる。 キャスティングが濃厚だ。赤血球・永野芽郁と白血球・佐藤健のW主演。キラーT細胞に山本耕史、NK細胞に仲里依紗、マクロファージに松本若菜、ヘルパーT細胞に染谷翔太といった面々が、細胞になり切っている。この人まで出ているんだ! というチョイ役(といっては失礼なくらいの存在感!)が豪華すぎる。 多くの細胞たちが協力しながら、人間の健康と命を守るために休みなく働き続けている。それが体内。そんなことはお構いなしに、人間は、好き勝手な食生活を送り、体内に負担をかけ続ける。 ラーメンに酒、たばこが大好きな漆崎茂(阿部サダヲ)は早くに妻を亡くし、娘の日胡(芦田愛菜)を男手で育てている。親子であっても、体内の様子は正反対で、娘の体内はおとぎの国の城下町のように美しく、父の体内は戦時中の暗さに覆われたうらぶれた路地のようで、不法投棄も日常茶飯事で血管も通りにくくなっている。 商店の看板のひとつひとつにも遊び心が宿っていて、DVDで見ていたら間違いなくストップボタンを押し、いちいち確認したくなるほどだ。 持ち主の生活スタイルを、そのまま反映する体内。ある日、娘の細胞を脅かす敵が侵入し、細胞たちは慌てふためきだす。 体内をワンダーランドのように描いた前半、敵の侵入により父娘の人情噺テイストになる後半。その中に、排便をめぐる体内の闘争風景(思わず笑い声がもれてしまった)、現実社会の映し鏡のような荒廃した風景などが盛り込まれ、さらには白血球のアクションもすさまじく、エンタメ作品として飽きさせない。 年末年始の必見映画だ。 (演芸評論家・エンタメライター)
■渡邉寧久(わたなべ・ねいきゅう) 新聞記者、民放ウェブサイト芸能デスクを経て演芸評論家・エンタメライターに。文化庁芸術選奨、浅草芸能大賞などの選考委員を歴任。東京都台東区主催「江戸まちたいとう芸楽祭」(ビートたけし名誉顧問)の委員長を務める。