2000万罰金騒動を乗り越え”声出し応援エリア解禁”に浦和サポーター燃える…主将の西川は鳥肌…ACL決勝T1回戦快勝を鼓舞
オリンピック・マルセイユから昨夏に加入した酒井は、浦和の一員として初めて臨むACLを、ファン・サポーターの熱い声援を受けながら戦いたいと待ち焦がれてきた。声出しが解禁されたのは南北のゴール裏だけだったが、それでも相手を畏怖させるのに十分だった光景を目の当たりにしたいま、ファン・サポーターへ抱く思いを新たにしている。 「僕たちに大きなアドバンテージがある大会なので、必ず一番上までいかないといけないし、お世辞でも何でもなくそれに必要な12番目の選手だと思っている。本当に頼りにしているし、このまま一緒に闘っていける環境を僕たちが示し続けなきゃいけない」 ベスト8のうち東地区の4チームが出そろった。前日に勝利した全北現代(韓国)とヴィッセル神戸に、ベガルタ仙台監督やリオ五輪代表監督などを歴任した手倉森誠氏(54)に率いられるパトゥム・ユナイテッド(タイ)、そして浦和が加わった。 ラウンド16と同様に一発勝負で行われる22日の準々決勝、そして東地区の勝者を決める25日の準決勝の舞台は埼玉スタジアムとなる。だからこそ、酒井はファン・サポーターの存在を思い浮かべながら「大きなアドバンテージがある」と語った。 浦和は2007年、2017年、そして2019年とACLの決勝へ3度進んでいる。もちろん日本勢で最多で、このうち2007年と2017年で頂点に立ったものの、2019年はアル・ヒラル(サウジアラビア)に2戦合計0-3のスコアで完敗を喫した。 3年前に抱いた悔しさを、西川はいまも忘れていない。累積警告よる出場停止だったアウェイでの第1戦を0-1で落とし、埼玉スタジアムに詰めかけた5万8109人の大観衆の声援を背にした第2戦で、先発に復帰しながらも0-2で返り討ちにあった。 昨年の天皇杯を制して、3年ぶりとなる出場権を手にした今シーズンのACL。右肩上がりに転じてきたJ1リーグ戦のいい流れを持ち込み、ホームタウンのある埼玉県内での集中開催に加えて、声出し可能エリアが設置された追い風を力に変えていった先に、ファン・サポーターとともに喜び合える瞬間があると西川は前を見すえる。 「アル・ヒラルのクオリティーの高さに対して、力のなさを感じた部分もあった。ああいうチームに勝てるようになっていかなければいけないと思っている」 中3日で準々決勝に臨む全北現代や神戸と比べて、浦和は中2日とハンデを負う。しかし、コンディション面での不安を補ってあまりある最高最強の武器、ファン・サポーターの声という武器をジョホール戦であらためて経験できた。注目の準々決勝の対戦カードは、一夜明けた20日に行われる組み合わせ抽選をへて決まる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)