肥満治療薬「ウゴービ」、心臓発作や脳卒中のリスク低減-研究結果
(ブルームバーグ): デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクの大ヒット肥満症治療薬「ウゴービ」が患者の体重に関係なく心臓発作や脳卒中のリスクを低減させることが、研究結果で明らかになった。これにより同薬の処方範囲が広がる可能性があると医師らは指摘している。
ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のジョン・ディーンフィールド教授は、心臓への効果について、過体重だが肥満ではない患者や体重があまり減少しなかった患者を含め、ウゴービを投与した患者全般に効果が見られたと説明。心臓の専門医である同教授はウゴービの臨床試験に携わった。
ディーンフィールド教授はイタリア北部ベネチアで開催された欧州肥満学会のプレゼンテーションで、この結果は何百人もの人々がこの薬を服用することで恩恵を受ける可能性があることを意味すると述べた。
今回の結果は、ノボ・ノルディスクが主催する大規模な臨床試験「SELECT試験」のより詳細な分析から得られた。心臓病の肥満患者は多く、カイザー・ファミリー財団によると、米国のメディケア(高齢者・障害者向け医療保険)受給者のうち、過体重や肥満と診断された患者の4分の1強に当たる約360万人が心臓病も患っている。
SELECT試験でウゴービを投与された患者は偽薬が投与された患者と比べて心血管の異常が発生する確率が20%低かった。ディーンフィールド教授は、これら患者の多くがすでにスタチンや降圧薬など一般的に使用されている心臓病治療薬を服用していたとしている。
この試験の20週目までに、ウゴービを投与された患者の62%で体重が当初の水準から5%余り減少。研究者らによれば、これら患者の心臓にもたらしたアウトカム(結果)は体重の減少率がより低い患者と同様だったという。
ディーンフィールド教授によれば、この結果はウゴービ投与による心臓への効果が単に体重の減少だけではないことを示唆。同教授は炎症の減少が関与している可能性に触れているものの、医師らは何が原因なのか正確には分からないとしている。