【試乗】この「そつのなさ」こそがVWの真骨頂! T-Crossのマイナーチェンジモデルは「ネガが見当たらない」
華はないけど非の打ち所もなし!
マイチェンを受けたTクロスはパッと見、ヘッドライトを含むグリルの印象とフォグライトの形状違いで見わけられる。 【写真】日本で乗るにはちょうどいいサイズと質感! VW T-CROSSの詳細(全38枚) 試乗したのはトップグレードのRライン。215/45R18の大径ホイールを履いて、ハンドリングは必要”ないくらい”スポーティー。それでいて高速の直進安定性の高さときたらもうミニ四駆のように突き進む。……つまり壁感が合って道路、道のとおりに進む安心の安定感。ハンドリングを含めてRラインを選ぶムキには満足度高い。 エンジンは全3グレードに共通の、116馬力/200Nmを発生する1リッター直3ターボが搭載される。トランスミッションはツインクラッチの7速DSGで、前輪を駆動。ちなみに燃費はWLTCモードで17.0km/Lと、ガソリンとして走行フィールからしても十分納得のいく数値だ。 室内に入ると、ああVWだなと思わせるしっかり感。硬い座面のシートに座り身体が安定したところから、スカッと広く四隅まできっちり目視できる広々感が自動車としての基本の基本を抑えている。 コンパクトSUVらしい着座位置の高さと視界の広がり、見晴らしの良さも重要だ。室内では後席にスライド機能が付き荷室の拡大にひと役かう。背もたれを倒すと荷室のフロアが通常はフラットにつながり、ゴルフバッグは縦に搭載可能。荷室フロアは下げることで深くなり、更にその下にテンパータイヤが収納される。 個人的に四角いハコ型は好みで、このサイズ感は狭い路地での取り回しがよく、使い勝手も優れていてまさに実用車。ウチの近所で奥様たちのアシとして多く見かけるのは、乗り降りのしやすいシート高と車高も影響しているのだろう。子供らが巣立った家庭にも、これからファミリーが増える若い層にも、ドイツ流の質実剛健が味わえるTクロスはお薦めできる。 華のないのが個性です。 VWとはそういう存在であり、その個性だから飽きが来なくて長い時間を共にできる。
桂 伸一