日本の大学の学費は「人生で2番目に高い買い物」 海外では無償の国も
大学はもっと情報を公開すべき
――日本の公的支出における教育費の割合は、OECD加盟国36カ国のうち3番目に低くなっています。なぜ日本は欧米諸国に比べて低いのでしょうか。 いくつか理由が考えられます。国家財政は厳しい状況ですから、財務省としては「そんなに出せない」というのが基本的な立場です。安倍政権のとき、教育を無償化する案も出たのですが、調査をするとその案に賛成する人は3割程度しかおらず、国民の合意を得ることができませんでした。 ――それはなぜでしょうか。 私立大学の一部は、学生が勉強をせず質が低いとみなされていて、そういう大学まで救済する必要があるのか、という声があります。今の大学は学生の教育に力を入れており、昔とは変わってきているのですが。当事者意識の問題もあります。就学生を持つ保護者は学費への関心が高くても、関係がない人の中には「それよりも医療や老後の保障に回してほしい」と考える人もいるわけです。 もうひとつは、大学からの情報が少ないことです。国立大学、私立大学ともに「大学ポートレート」という仕組みがあってそこに情報を載せていますが、情報の内容は各大学の裁量に任せているので、良い情報しか出てきません。学生数など定員充足率に関わるような内容の公開も必須にして、透明性を確保するべきです。そうでないと、社会の信頼を得られないと思います。 ――北欧や、オーストラリアのヘックスなどは、うまくいっているのですか。 スウェーデンやフランスは、国家財政が厳しくても「福祉国家」という考え方が徹底しています。国民は老後や医療などの社会保障で恩恵を受けているので、大学の無償化にも反対はしません。ただし税金は高いです。 すべてが理想的なわけじゃなく、ヘックスも問題はあります。卒業後、専業主婦(主夫)になった場合、いくら配偶者の所得が高くても本人が無収入なので、学費を取ることはできず、問題視されています。