若いうちに考慮すべき「5つの妊活」 齊藤英和・国立成育医療研究センター
4.育児の協力者を確保する
育児は楽しい面もたくさんあるのですが、予想もしないことがたくさん起こり、夫婦で働いていると苦労することもよくあります。例えば、子供の病気や自分たち親の病気です。この時、行政のサービスも利用することは大切ですが、さらに、自分の周りの方に子育てに協力してもらえる環境をつくることが大切になってきます。親・兄弟・学校時代の友人で、同じく子育て中の方が周りにいれば、全く知らない方に預けるよりも融通が利きやすいし、安心だと思います。このためには、親との同居、近居、また、自分が育った故郷での就職し家庭形成を考えることも一案です。また、親などに、先人の知恵や経験を話されると「うるさい」ように思うかもしれませんが、示唆に富むものが多くあります。
5.行政の妊娠・出産・育児・教育に関するサービスを熟知し、利用する
現在も、内閣府の子ども・子育て支援新制度など、行政には、妊活にあたって利用できる、いろいろな支援システムがあります。また、今年3月に策定された少子化社会対策大綱でも、各種の支援システムの構築が提案されています。多子世帯に対するサポートや男性の育児に関するサポート、教育費に関するサポートなどがそうで、それらを上手に利用していくことも妊娠・出産・育児、さらに仕事も楽しくなる大切なコツだと思います。
以上、妊活にあたって、若い人が具体的にどうすればよいかを考えてみました。私自身の考えではありますが、これを読んで一つでも参考になるところがあれば、取り入れて、自分の人生、産むことと働くことをじっくり考えてください。 私は普段、医師として、生殖医療に関わり、多くの若い夫婦が妊活にむきあう姿を見ています。間違いなく言えるのは、もし、人生のうちで、いつか家庭を持つことを選択するのであれば、妊娠に関わる知識を若いうちに知り、人生の若い時期に仕事・家庭を含めたライフプランを立てたほうがよいということです。今回お話しした5つは、妊活をうまく進めるための基本と言えると思います。 ------------------- 齊藤英和(さいとう ひでかず) 1979年:山形大学医学部卒、2002年~:国立成育医療研究センター、周産期・母性診療センター、2013-2014年:内閣府「少子化危機突破タスクフォース」座長。著書:「妊活バイブル」(講談社)、『「産む」と「働く」の教科書』(講談社)