若いうちに考慮すべき「5つの妊活」 齊藤英和・国立成育医療研究センター
2.伴侶を探す
伴侶を探す。これは、当たり前にように聞こえますね。でも皆さんが学生時代、一生自分と共に子育てしていく人はどの人かという目で人を見ていませんよね。学生時代はスポーツや勉強ができる人とか、容姿がよい人とか、経済的に豊かな(将来豊かになりそうな)人に目を奪われていませんか? 学生時代では、とても長い時間をかけて、いろいろな人と交流することができます。また、学生時代は、みな、自分の地を出して交流しているので、その人の価値観やたぶん羽目を外す程度もわかり、その人が一緒に人生を歩むのに許容範囲にあるかどうか、すなわち価値観が似ているかどうか、正確に評価しやすい環境だと考えられます。 就職してからでも、会社で協力して何かの目標・仕事をやり遂げる時や、会社以外でも趣味の教室、またはサークルに入り、同じ目標に向かって協力して成し遂げるときも相手の人を正確に評価しやすい環境と言えます。 私が思うに、「婚活」だけ(マッチング)を目標にしたいろいろなイベントがあるようですが、 妊活の視点で、人を全体として正確に評価できる仕組みかどうかは、注意する必要があるでしょう。 その意味では、中学・高校・大学時代の同窓会などは、同じ時間と場所を共有してきた仲間とのつながりですので、 「人となり」を評価しやすいものです。
3.安定的な経済的基盤を確立する
「衣食足りて礼節を知る」と同じで、「妊活」にも経済的基盤は必要です。例えば、雇用の不安定な非正規雇用では、相対的に、結婚・妊娠・出産・育児を計画しにくい状況となります。まずは安定的な経済的基盤を確立することが大事です。 とはいえ、どの程度の収入かというと、昔のように夫婦どちらかの収入だけで生計を立てるとしたら、現在の状況では、結婚しても妊活としては難しい状況になります。しかし、現在は共働きの世帯が半数を超える時代ですから、夫婦になっても、両方が働くことで生計を立てていけるだけの収入があればよい、と考えてよいと思います。両方の合計収入で500万円という金額は、若い世代でも家庭を持つことが可能な金額と考えます。 また、安定的な経済的基盤を確立するといってもどのような職場でもよいというものではありません。職場の環境はとても大きな要因です。妊娠・出産・子育てに関するいろいろな制度ができていますが、そのことが必ずしも職場で認識され実践されていない場合もあります。就職する際は、その職場の子育て世代の男女が、生き生きと子育てしながら仕事をしているか、実際に足を運んで、調べてみるのもよいと思います。 子育てには男性の役割は重要です。以前の日本の職場では、なかなか子育てのために男性が早く帰宅することがほとんど皆無であったので、新たな制度ができても、なかなか浸透しません。 さらに、妊娠・出産・育児のために会社を辞めないことがとても大切です。退社後に再就職しても非正規雇用のことが大半で、この場合、正規雇用が継続された場合と比べると生涯の収入は1億円以上の差を生じます。収入の点からも夫婦共働きが基本となってきている現在では、なるべくいろいろな制度を利用し、正規雇用を継続することが大切です。