Honda 0(ゼロ)シリーズ搭載予定の次世代技術を公開! ホンダの新EV戦略がいよいよ始まった
ナカニシ自動車産業リサーチ・中西孝樹氏による本誌『ベストカー』の月イチ連載「自動車業界一流分析」。クルマにまつわる経済事象をわかりやすく解説すると好評だ。第36回となる今回は、去る2024年10月9日、「Honda 0 Tech Meeting 2024」を開催し、新EV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」に搭載予定の次世代技術を公開したホンダについて。 【画像ギャラリー】新たなモデルも2025年1月に公開予定!ホンダの新グローバルEV「0シリーズ」をギャラリーでチェック!(7枚) ※本稿は2024年10月のものです 文:中西孝樹(ナカニシ自動車産業リサーチ)/写真:ホンダ ほか 初出:『ベストカー』2024年11月26日号
■ホンダはわずか3年でEV技術を固め、競争力の具体的な進捗を示した
ホンダは0シリーズに搭載予定の次世代技術を「ホンダ 0 Tech Meeting 2024」で公開しました。 EVの基盤技術がなかったホンダでしたが、わずか3年間で確立し、儲かるEV事業への具体的な戦略を詳らかにしました。 ホンダの四輪事業の屋台骨は北米にあります。儲かるEV事業を北米で確立することはホンダにとって生命線なのです。 一方、中国市場は中国民族メーカーが外国ブランドを駆逐し、いまや怒涛の勢いで新興国を攻め始めています。ホンダはここでも劣勢です。いち早くEVシフトを実現して米国に砦を築き、そこから中国と新興国に撃ち返すことが、不可欠な戦略なのです。 現在のホンダの四輪車事業は低迷していますが、2000年代は同社の花形事業でした。トヨタに劣らぬ品質とスポーティなブランド価値を有した同社の米国販売は20%近い営業利益率を生み、全社利益の8割を稼いでいた時代があったのです。 しかし、2010年代に入り屋台骨をアコード/シビックで支える時代は終焉しました。開発力は低下、コスト競争力も失い、韓国勢に完全に追いつかれました。 創業者の本田宗一郎は、利潤追求の本社に惑わされることなく、技術者がのびのびと研究開発に集中できる聖地「本田技術研究所」を栃木に作りました。 しかし、2000年代を境に研究所は目前の大量の開発要請に追われ続け、ホンダらしい独創的な技術力は失われていきます。2021年に就任した三部敏宏社長は、自動車産業に迫るデジタル化、知能化、電動化で大きく出遅れたホンダと対峙しなければならなかったのです。 それがわずか3年で、世界で戦えるEV基盤技術を固め、将来のEV競争力を確保できる具体的な進捗を示したわけです。 「2040年までに四輪車の脱エンジンを目指す」とした三部社長の真意は、退路を断ち社員一丸となってEV事業の要素技術の確立を最優先させることにあったと筆者は考えています。 その成果は「ホンダ 0 Tech Meeting 2024」の現場に並んだリアルな技術が実証していると感じました。