Honda 0(ゼロ)シリーズ搭載予定の次世代技術を公開! ホンダの新EV戦略がいよいよ始まった
■世界のEVリーダーを目指せる存在に
展示された次世代技術の多くは2026年から発売される汎用性の高い次世代EV専用プラットフォーム(第3世代)に基づくホンダ0シリーズ、特にフラッグシップセダンの「サルーン」に搭載される技術が中心となっていました。 2028年末までには、筆者が第4世代と呼ぶ本格的なEV専用プラットフォームが導入される見通しです。 ここでは、電池バリューチェーンの垂直統合とカナダに建造されるEV専用工場(生産能力24万台)、EV専用設計となるE/Eアーキテクチャが導入されます。ホンダはこの段階で、EV事業での営業利益率5%の確立を目指しています。 2026年に始まる第3世代のホンダ0シリーズの収益性は厳しいものがあります。しかし、第4世代の収益改善に向けて大きく4つのドライバーが存在しています。 01)カナダにおける垂直統合型リチウムイオン電池を搭載することで、20%のコスト削減を実現(1台当たり約2000ドルの効果)。 02)300kgのさらなる車体軽量化を実現し、20%の搭載量削減を目指す(同約2000ドルの効果)。 03)EV専用工場におけるモノづくり革新で35%の製造費用の削減(同約1000ドルの効果)。 04)E/Eアーキテクチャにゾーンアーキテクチャを採用し、さらなるソフトウェア、ハードウェアの標準化、UXの拡大を目指す。 新開発EV専用プラットフォームの重要な技術展示を下の図にまとめています。 この第3世代プラットフォームをベースとしたアキュラの大型SUVとホンダのサルーンを皮切りに、大きさの違う3つのSUVを2027年までに投入する予定です。 大切なポイントは、第3世代プラットフォームは汎用性が高く、エンジン車と混流生産が可能なところです。 最大40万台を米国で生産できますが、それに向けたギガキャストマシンや電池生産ラインは段階的に投資を進める考えです。 そして第4世代においては徹底したEV専用設計が施され、コスト競争力を極める考えです。わずか3年前まではエンジンに固執していたホンダですが、現在はEVのリーダーを目指せる存在となりつつあります。 今後の課題は2点あると筆者は考えます。 第1に、EV基盤技術のメドが付きつつあるなかで、需要変動と地政学リスクにさらされるEV事業のリスクコントロールを強化することです。第4世代はEV専用設計です。計画が崩れれば多大な事業リスクを生みます。同時にPHEVやハイブリッド車における競争力の確立も必要です。 第2に、ソフトウェアとデジタル体験(DX)に課題が残ると感じました。EV領域においての同社のハードウェアの強さは認識できました。 一方、E/Eアーキテクチャ、アプリケーション、デジタル体験コンテンツにはまだキャッチアップすべき課題が多いと感じています。ここは気を緩めず、過去3年間の集中力を維持して取り組んでいかなければならないでしょう。