「網膜剥離」の前兆はご存じですか? 手術では何をする? 術後生活での注意点も医師解説
手術後の注意点
編集部: 手術後、すぐに見えるようになるのですか? 坂西先生: いいえ。術式にもよりますが、視力が安定するまで数ヶ月から半年程度かかることがあります。場合によっては一年程度かかることもあります。ただし、病期が進行して黄斑という部分まで剥がれていた場合には、最終的に見づらさや歪みが残ることもあります。 編集部: 手術後はどのようなことに気をつければ良いのでしょうか? 坂西先生: 網膜剥離の手術をしたあとは、目の状態が落ち着くまで2~3ヶ月かかります。少なくとも1ヶ月間は激しい運動は控えるようにしましょう。また目をこするなど、目に直接的な影響を与えることも避けましょう。 編集部: そのほか気をつけることはありますか。 坂西先生: 目の中に医療用ガスを注入した場合は、手術直後からうつ伏せの姿勢が必要になります。食事とトイレ以外は、うつ伏せの姿勢を保つようにしましょう。期間は最短で1日、長くても2週間程度です。またガスが抜けるまで飛行機には乗れません。 編集部: うつ伏せをキープしなければいけないのですね。 坂西先生: はい。うつ伏せの期間が終わったからといって、体位が完全にフリーになるわけではなく、ガスが入っている間は「横向きでいてください」「座っていてください」など、医師から体位の指示があると思います。 体位はガスの種類や網膜剥離の位置などによって異なりますが、このとき指示を守らないと再発のリスクがあるだけでなく、視力の予後にも関わってきます。必ず医師の指示を守るようにしましょう。 編集部: どれくらいでガスが抜けるのですか? 坂西先生: およそ2週間、長いと4週間が目安になります。 編集部: 再発を予防するにはどのようなことに気をつければ良いでしょうか? 坂西先生: 飛蚊症や光視症の症状が見られた場合には、早めに医師の診察を受けましょう。網膜裂孔の状態で発見できれば、レーザー治療で対処できます。また急に視力が低下するなど、気になることがあればすぐに受診をしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 坂西先生: 一般に、飛蚊症が出ると皆が網膜剥離にいたるというわけではありませんが、その症状が表れてから網膜剥離が起きるまで1週間以内であることがほとんどですので、症状が出た場合にはすぐに眼科を受診するようにしましょう。 また、網膜剥離は手術後も再発しうる病気ではありますが、現在ではその術式も大きく進化しており、再発のリスクはかなり抑えられるようになりました。それでも、なかには再発する人もいますし、急速に症状が進行することもあります。 そのため、手術後も飛蚊症が増えたり視野が欠けたりするなどの症状に気づいたら、できるだけ早めに受診することが必要です。