【更年期】仕事も家事もしんどい...のり切る方法
Q.更年期の症状と闘いながら、仕事と家のことを両立するのがしんどいです(55歳・パート)
A.自分ひとりでがんばらない! 子離れも考えるべき時期です 「仕事と家のことを両立しないといけないのは女性だけ?いいえ、そうではないはずです。ただでさえ心身の不調が増える更年期、それなのに家事も育児も仕事も……なんてできる人のほうがまれで、自分のいたらなさや能力のせいだと思う必要はまったくありません。パートナーがいる人はしんどいことを伝え、よく話し合って家事や育児を分担してください。子供がいる人は、子供が大きくなってくる時期でもあるので、今まで子供にかけていた手を少しゆるめ、上手に子離れしていくことも考えましょう。女性はもっと自分ファーストでいい。更年期ならなおさらです」
Q.更年期は骨折が増えると聞きました。骨密度を上げるには?(48歳・自営業)
A.食事や運動のほかHRTも選択肢のひとつ 「エストロゲンが減少するのに伴って骨ももろくなっていきます。ちょっとぶつけただけで指の骨を折るなど、閉経後の女性に小さな骨折が増えるのはそのためです。80代女性では2人に1人が骨粗しょう症なので、たとえ今骨密度が『同年代の平均値です』といわれたとしても、それはつまり80代には骨粗しょう症になる可能性が高いということ。決して安心はできません。骨を強くするにはカルシウムやビタミンDといった栄養素をしっかりとり、適度な運動をすることが大事。またHRTは骨密度の低下を防ぐ作用もあります」
Q.更年期が終わると中性的になるのではと不安です(46歳・主婦)
A.それはファッションの問題。ホルモンとは関係ありません 「ホルモン値は外から見てわかるものではなく、中性的であるかどうかというのは見た目の問題、つまりファッション。その人の意識しだいだと思います。同様に、よくいわれる『子宮をとると中性的になる』というのも、まったくのデタラメです。むしろ注意したいのは、更年期の妊娠。更年期に入っても月経と排卵があるうちは、確率は低いとはいえ妊娠の可能性は十分あります。実は40代後半の人工中絶の割合は10代後半に次いで高く、これは『更年期に入ったからもう妊娠しないだろう』という思い込みからと見られます。不規則であっても月経があるうちは、子供を産む予定がもうないなら、避妊はマストです」
◇産婦人科医 吉野一枝先生 よしの女性診療所(東京・中野)院長。臨床心理士の資格ももち、ライフスタイルを含めた女性の健康悩みに詳しい。日々の診療に当たる一方、学校などでの講演やメディアを通じて、性教育や女性の健康についての啓蒙も積極的に行う。著書に『40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本』(永岡書店)などがある。 取材・原文/遊佐信子 イラスト/二階堂ちはる ※エクラ2024年7・8合併号掲載