4代目ジープ グランドチェロキーは最新技術の採用でプレミアム感を増して登場した【10年ひと昔の新車】
初代ジープ グランドチェロキーが誕生したのは1992年のこと。本格派オフローダーのラングラーに対して、オンロードでも快適なプレミアムSUVとして、ジープブランドのもうひとつの頂点に位置づけられて登場した。そんなグランドチェロキーは2010年、米国でフルモデルチェンジされて4代目へと進化している。ここでは日本上陸を前に米国で行われた4代目グランドチェロキー国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年9月号より) 【写真はこちら】 空力面を考慮し、より流麗なボディスタイルに。Cd値は、先代より8.5%低い0.37。日本導入予定のリミテッドは18インチが標準装備(全6枚)
注目は四輪独立懸架サスペンションとエアサス「クォドラリフト」の採用
新型グランドチェロキーにはふたつの大きなトピックがある。それはいずれもジープブランドの大きな変革を意味するものだ。 まずひとつは四輪独立懸架サスペンションの採用。プレミアムSUVでは当たり前となったこの形式を、これまでジープが採用を見送ってきた理由は、トラクション不足による悪路走破性の低下が懸念されたからだ。しかしジープは今回のフルモデルチェンジでシャシの刷新に伴って十分な路面接地性が得られると判断、ルビコントレイルでのテストをパスしたことで、チェロキー系としては初の採用に踏み切った。 その四独サスをフォローする意味合いも兼ねて、もうひとつの初採用となったのが、日本ではオプション扱いとなるエアサス「クォドラリフト」だ。最も地上高の低いパーキングモードから、最もクリアランスを稼げるオフロード2モードまで、実に105mmの車高調整機能を備えるこのサスペンションは、デフォルトで地上高203.5mmとして走破力を大きく高めるだけでなく、オンロードでの快適性にも寄与するものとして開発されたという。 新型に搭載されるエンジンは新開発の「ペンタスター」と呼ばれる3.6L V6と、従来からの5.7L V8HEMIという2本立て。日本市場へは当面、V6のみが導入される予定だ。新開発のV6エンジンは可変バルブタイミングなどを導入し、前型のV6に対して1割以上の燃費低減を実現しながら得られた出力は286psと、2割以上の出力向上を果たした。これに組み合わせられるATは5速となる。 加えて、フルタイム4WDとなるドライブトレーンには「セレクテレイン」と呼ばれる走行状況に応じた統合制御システムが採用された。このシステムは、サンド&マッド、ロック、スノー、スポーツと、シチュエーションに応じた4つのモードをセレクトすれば、ローレンジへの切り替え及びトラクションコントロールやブレーキロックディファレンシャル、ブレーキアシストといった駆動輪制御に加え、トランスミッションやエンジンマップなど、計12もの項目を各々の状況に応じて切り替えるというものだ。通常時にはセンターのオートポジションにしておけば、概ね日常的な場面で最適なドライバビリティが得られる。 興味深いのはオンロードのワインディングを軽快に駆けることを目的としたスポーツモードで、このポジションは駆動配分を前20:後80に固定、ESPの介入も遅らせるなど、アグレッシブな設定となっている。