4代目ジープ グランドチェロキーは最新技術の採用でプレミアム感を増して登場した【10年ひと昔の新車】
生来のタフネスはそのままにオンロード性能が劇的進化
写真で見た時点での内外装はヨーロピアンSUVテイストで纏められたという印象を抱くが、メッキ仕立ての7スロットグリルを纏った新型グランドチェロキーの佇まいはやはりアメリカ車らしい大らかさがそこここに感じられる。...... と書くと、細かな仕立てを気にしないという風にとらえられるかもしれないが、内装のチリ合わせやシボ等のクオリティもライバル車の現状をよく研究しているらしく、総じて今日的水準にあるといえるだろう。 しかしグランドチェロキーの本質は静的な評価に大きく依存するものではない。ポジション的にはラグジュアリーセグメントに属するものの、このクルマは前身であるジープワゴニアの時代から数えて50年近くもの間、ヘビーユースにも耐えうるタフさを持ち合わせていることをウリとしてきた。 その名に恥じない走破性は果たして持ち合わせているのか。用意された砂混じりのオフロードコースで、そのポテンシャルの片鱗は十分に伺えた。 エアサス+18インチのM+Sタイヤの組み合わせで、新型グランドチェロキーはロックセクションから急勾配の上り下り、キャンバーなどのシチュエーションをサクサクとクリアする。それらのアタックにテクニックの一切は不要。手許のセレクテレインを路面状況に合わせるだけ...... とあらば、旧くからのジープファンは眉をひそめるかもしれないが、そんな人にはラングラーがあるということになるのだろう。 この至極イージーなオフロード性能もさることながら、劇的なのはオンロードでの乗り心地や操安性だ。これはもう、先代に対して飛躍的といっても過言ではない。 新しいエンジンの動力性能は必要にして十分なもので、鼻先が軽い分かえってV8よりも好ましいまとまりをみせているといえる。コーナーでのコントロール性はあらゆるライバルに対しても決して劣るものではなく、ステアリングフィールの上質感などは数多のSUVを凌駕するものかもしれない。この辺りはエンジニアベースがメルセデス・ベンツのMLであることも効いているのだろう。 日本への上陸は2011年初頭から春にかけてが予定される。期待に十分応える仕上がりになっていることは間違いない。(文:渡辺敏史)
ジープ グランドチェロキー リミテッド 3.6L 主要諸元
●全長×全幅×全高:4822×1943×1781mm ●ホイールベース:2915mm ●車両重量:2191kg ●エンジン:V6DOHC ●排気量:3604cc ●最高出力:210kW(286ps)/6350rpm ●最大トルク:347Nm/4300rpm ●トランスミッション:5速AT ●駆動方式:4WD ※EPA準拠
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