食で成長を支え 時には両親に代わり指導 国士舘の球心寮、選手見守る白川夫妻 /東京
<第91回センバツ> 第91回選抜高校野球大会(日本高野連、毎日新聞社主催)に出場する国士舘は、自宅が離れている一部の選手が、多摩市のグラウンド近くにある野球部寮「球心寮」で生活している。寮では白川健一さん(57)、和美さん(53)夫婦が賄いを担当しながら、親元を離れて暮らす選手の成長を見守る。【川村咲平】 白川さん夫婦は2013年秋から球心寮の担当になり、住み込みで選手の生活をサポートしている。朝4時から朝食の準備を始め、季節によっては昼食も用意。練習後の午後8時から始まる晩ご飯は、主菜に副菜2品とデザートを提供する。 食材の調達も大切な仕事。健一さんが業務用スーパーに出向き、なるべく新鮮な野菜や肉を買い込む。選手たちは朝520グラム、夜900グラムの白米を平らげるノルマがあり、調理師免許を持つ健一さんは「栄養バランスを考えつつ、残さず食べてもらう」ようにおかずを用意する。 今年の入寮生の印象について、和美さんは「ちょっとおとなしいかな」と語る。洗濯の待ち時間などを見計らい、選手と交わすたわいもない会話が楽しみだ。「特に恋愛話が好き。親には恥ずかしくて話せないことも教えてくれる」と笑う。 「団体生活を通じて思いやりと謙虚な気持ちを学んでほしい」との思いから、時には選手の両親に代わり生活態度を指導することも。選手は約2年半の寮生活を経て、心身ともにたくましくなるという。和美さんは「卒業生が訪ねてくることもある。成長した姿を見るとやりがいを感じます」と話す。 国士舘が優勝を果たした昨秋の東京大会決勝は、神宮球場で観戦した。「うれし涙を流す寮生の姿を見て、もらい泣きしました」と和美さん。数日後にはピザやケーキを振る舞い、祝勝会を開いた。 甲子園期間中もBチーム(2軍)の選手たちが東京に残るため、現地で応援はできない。それでも2人は「1試合でも勝って大暴れしてほしい」と、今から晴れ舞台を楽しみにしている。 〔都内版〕