「売れなくなった」を売れるに変える最強思考の型 正しく論理的に考えるだけでは解決策は見つからない
出典:『アカウントプラニングが広告を変える 消費者をめぐる嘘と真実』ダイヤモンド社・ジョンスティール著 をもとに筆者要約 90年代のカリフォルニアでは、ミルクの消費量が減少していました。調査によると、人々がミルクを飲まなくなった理由は、次の3点だと考えられていました。 ・ミルクに含まれる脂肪分が気になるから ・「子どもの飲み物」というイメージを持たれたから ・コーラなどの他の飲料と比べると「パッとしない」と思われていたから
そこで、こうしたネガティブなイメージを払しょくするために、広告キャンペーンが何年にもわたって展開されました。「ミルクは身体にいい」とあの手この手で語りかけ、さまざまな年齢の人が牛乳パックを手に歌って踊り、明るい音楽やメロディーを使った広告でパッとしない印象を変えようとしました。その結果、ミルクのイメージを上げることには成功。しかし、ミルクのイメージが改善されても、売り上げは依然として下がり続けたのです。
こうして行き詰まったところで、「どうしたらミルクをもっと買って、飲んでくれるようになるのか」「どうしたら行動を変えさせることができるのか」を考えることになりました。 あなたならどんなアイデアを出しますか? ■まずは、日常の中にある「気づき」に目を向ける 当時の担当者は、次のようなことを考えたそうです。 「自分の感覚で考えてみると、ミルクをそれだけで飲むことはほとんどない。ブラウニーとミルク、シリアルとミルク、コーヒーとミルク……等のように、ミルクとの相性がとても良いものと一緒に楽しむことが多い。しかも、ミルク無しではちょっと考えられないものもある」
そこで調査で詳しく調べてみたところ、「ミルクだけを飲む」ということはほとんどないことが判明しました。担当者が考えた通り、ミルクはある食べ物の補完物であり、これまでの広告で描かれたように、主役であることはまれであるということがデータからも分かったのです。 さらにグループインタビューを行い、いくつかのグループにコップ1杯のミルクを見せたところ、ほとんどの人が「う~ん、ただのミルクだね」と答えるだけで、あまり言葉が出てきませんでした。しかし、別のグループで、チョコレートチップ・クッキーやブラウニーの写真を見せると、ほぼみんな同じことを言うのです。