親の一周忌で実家の整理中、「100万円」が入った知らない口座の通帳を発見! これって相続税の「申告漏れ」として罰則を受けてしまうのでしょうか? 改めての申告は必要ですか…?
家族が亡くなり、落ち着いてから遺品整理をしていると、タンス預金や大金が入った知らない銀行口座の通帳が見つかることもあるかもしれません。 相続税の納付には期限がありますが、期限後に見つかった資産の対応に困る人は多いのではないでしょうか。正直に税務署に言ってしまうと脱税だと思われ、罰則があるのではと不安になる人もいるでしょう。 相続税の納付期限後に大きな財産が見つかったとき、どうするべきなのでしょうか。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
新たに遺産が見つかった場合は相続税の修正申告が必要
今回のケースのように、後から新たな相続財産が見つかった場合、修正申告と相続税の納付が必要です。特に大きな財産の場合、相続税の計算に影響することが多く、修正申告を行わなければ、ペナルティを受ける可能性があります。 正直に税務署に申告し、必要な税金を納めることが最善策です。 ■修正申告をした場合延滞税がかかる 修正申告をした場合、それが故意であったか、悪意があったかに関係なく、元の相続税に加えて延滞税がかかります。延滞税の税率は、法定納期限から2ヶ月を経過する日までは年7.3%、それ以降は原則として年14.6%です。 延滞税は日割りで計算され、遅れれば遅れるほど増えていきます。したがって、少しでも早く修正申告し、納付したほうが良いでしょう。 ■遺産分割協議のやり直しは不要 見つかった分だけ再分割する 遺産分割協議がすでに終わっている場合でも、見つかった財産については再協議が必要になることがあります。 ただし、原則として遺産全体を再分割する必要はありません。新たに発見された財産のみを対象に分割協議を行うことになります。
新たに見つかった財産はなるべく早く修正申告する
新たに見つかった財産には、前記した延滞税に加えて、過少申告加算税がかかる可能性があります。過少申告加算税を支払うことにならないためにも、なるべく早く申告することが必要です。 ■税務署に指摘された場合は過少申告加算税がかかる 過少申告加算税とは、確定申告での納税額が不足していた場合に課される税金で、行政制裁としての性格を持つとされるものです。 過少申告加算税の税率は原則10%ですが、新たに納める税金が「当初の申告納税額」と「50万円」のいずれか多い金額を超えている場合、超えている部分については税率が15%となります。 ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。つまり、過少申告加算税を避けるためにも、なるべく早く申告することが大切なのです。 ■税務署はすでに把握している可能性もある 税務署は、金融機関や不動産の取引などを通じて相続人が把握していない財産を確認することができ、新たに見つかった財産についてすでに把握している可能性があります。 税務署は申告漏れを把握してすぐに指摘をするわけではなく、数年たったのちに指摘することが多いようです。見つかることはないだろうと油断して、そのままにしておくと数年後に指摘され、膨れ上がった延滞税と過少申告加算税を支払う可能性が出てくるため、なるべく早く申告するようにしましょう。
後からトラブルにならないように財産の把握が大切
今回のように、後から大きな財産が見つかるケースでは、延滞税がかかる、過少申告加算税を支払う可能性があるほか、家族間のトラブルに発展することがあります。 そうならないためにも、相続税の法定納期限内に遺品の整理をしっかり行い全ての財産の把握をし、それでも万が一新たに財産が見つかったときの対応を家族で決めておくと良いでしょう。 出典 国税庁 No.9205 延滞税について 国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき 執筆者:浜崎遥翔 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部