ショットやパットの前は「息を3秒吸って、3秒吐く」。打ち急ぎや気持ちの焦りがなくなる「呼吸法」を女子プロのトレーナーが解説
ゴルファーであれば、誰しもプレー中にリズムの良し悪しを感じる場面がある。ショットを打ち急いだり、パットでスムーズにストロークできないのは、リズムの悪さが原因かもしれないのだ。だが、どうしてリズムが乱れるのか、というのはあまり知られていない。そのメカニズムを女子プロの多くを指導する斎藤大介トレーナーに聞いた。
「あなたの適正な“テンポ”は心拍数で決まります」(斎藤氏)
「リズムとは、音楽用語で規則的に鳴る音のかたまりを指します。つまりリズムが悪くなるのは、何かが不規則になっているからです。何が不規則になっているかというとテンポです。テンポはリズムを刻む速さのことですが、速すぎたり遅すぎたりするとリズムが乱れるのです。ゴルフの場合、テンポが速くなってリズムが悪くなるケースがほとんどです。では、どうしてテンポが速くなるのかというと心拍数が高くなるからです。そしてこの心拍数は人それぞれ異なります。つまり人によって適正な“テンポ”があるということです。それがリズムと心拍数の深い関係につながるのです」 ゴルフはメンタルのスポーツと言われるが、プレー中はまさに精神的な葛藤の連続だ。ミスへの不安、ミスが出た後の動揺、さらにコース上で走った後など、心拍数は目まぐるしく上下する。それがリズムを乱す要因となる。 斎藤トレーナーがサポートしている青木瀬令奈もリズムの重要性を指摘する。 「リズムが乱れたときは、歩く速度をゆっくりにして体に酸素を取り込むと心拍数が下がって元のリズムが取り戻せます。パッティングは最も高い精度が求められますからリズムはとても重要です」 呼吸が速くなったり、呼吸をしているかどうかもわからないときは明らかにリズムが悪い。心拍数によるテンポやリズムの変化は、想像以上に影響が大きいのだ。
「心拍数を整えるには“ヨガの呼吸法”が最適。気持ちよく歩くだけでも効果あり!」(斎藤氏)
「私は歩くときのテンポやリズムを意識しています。それがリズムのベースになっていて、リズムがいいときほど、動作にムダがなくなり、集中力も増すんです」と青木瀬令奈は語る。 リズムよくプレーすることはアマチュアにとってもメリットが多い。斎藤氏は、 「リズムがいいと考えずに行動できます。歩くときと同じでリズムに乗ると手や足をどう動かそうなど考えないですよね。これはムダな動きが少ない状態でもあります。またリズムは心拍数とも関係していますから、プレー中なら深呼吸がおすすめです」