ショットやパットの前は「息を3秒吸って、3秒吐く」。打ち急ぎや気持ちの焦りがなくなる「呼吸法」を女子プロのトレーナーが解説
リズムの安定を生む心拍数は、どう整えるのが理想なのか? 「心拍数は肉体的要因と精神的要因の2パターンで上がります。走ったら心拍数が上がりますし、緊張したときも心拍数は上がります。ゴルフの場合、両方が関わることもあり、基本的には呼吸が速くなります。ですので、まずは呼吸を意識しましょう。深呼吸することで心拍数を下げていきます」 斎藤トレーナーはヨガがゴルフの上達にも役立つと考えており、「ゴルフが上達するヨガ」のオンライン講義も開講している。そのヨガの呼吸法は「3・3・3」が基本で、おすすめだと言う。 「3秒かけて鼻から吸って、3秒息を止めて、3秒かけて口から吐きます。これはヨガの呼吸法で、止息(息を止める)が特徴です。深呼吸に止息を加えると、より高い集中力が得られます。ただ、プレー中なので息を止めるのが苦しい場合は、3秒吸って3秒吐く呼吸だけでも十分効果があります」 また、プレー中に心拍数を下げるには、自分が心地よいと感じるスピードで歩いたり、水を飲んだりするのも有効だという。 アマチュアはカートに乗るのが当たり前だが、プロは歩くのが基本。調子が悪いときほど、ヨガの呼吸か、歩くことを意識しよう。
「呼吸は自分でコントロールできるもの。リズミカルなトレーニングがおすすめ」(斎藤氏)
斎藤トレーナーは選手たちの個性を見極めながらトレーニング指導を行うが、全選手の心拍数は必ずチェックしている。そしてリズムが乱れやすい選手には、決まった特徴があるというのだ。 「腹式呼吸ができない選手です。胸で息を吸う胸式呼吸だと呼吸が浅く速くなりやすいのです。お腹を使った腹式呼吸だと心拍数を安定させやすく、整えやすくなります。自宅で簡単にできますので、ぜひ取り組んでみてください。呼吸は自分でコントロールできるものです。やれば確実に心拍数を整えられるようになります」 また、腹式呼吸ができていてもトレーニング中にしゃべりかけると動きが止まってしまう選手もいるという。これもリズムが乱れやすい特徴のひとつだと斎藤氏。 「リズムに乗れない選手ほど、複数のことを同時にできない傾向があります。おそらく左脳優位で右脳の働きが悪くなるのかもしれません。そういう選手には『リズムトレーニング』を積極的に取り入れています。メトロノームのテンポに合わせてトレーニングするとムダな動きがなくなり、動きがリズミカル(一定)になるんです」 メトロノームはスマホでアプリをダウンロードできるし、動画サイトにもアップされている。それを活用すれば、自宅でも簡単にリズムトレーニングができる。 「ゴルフは自分のリズムで動くスポーツなので、考えすぎると体は動かなくなります。アドレスで固まりやすい人はリズムが乱れやすい代表格。そんな人はリズムトレーニングが絶対おすすめです」