「便秘=腸が原因」の思い込み...医師が指摘する出口のトラブル
おしりの中で便が2階建て構造に!
ウサギの糞のようにコロコロと丸い形の便を「コロコロ便」といいます。 腸でそれができる場合、原因は、水分不足や偏った食生活、ストレスや疲労による自律神経の乱れなどさまざまです。ですが、直腸や肛門でできる場合は、排出されずに残った「出残り便」がコロコロ化したものです。 出残り便は、最初は軟らかいのですが、直腸壁から水分がどんどん吸収されるので石のようにカチカチに、さらに小さく割れてコロコロになっていきます。これが残便感となり、便意があってもなかなか出ない、無理にいきむと出血するなど、トラブルの原因となるのです。 直腸は粘膜なので痛みを感じませんが、肛門には知覚神経が通っています。そのため、通常は空っぽのはずの肛門に便が残ると、残便感を感じてスッキリしません。 しかし、本来は通路である直腸や肛門に出残り便のある状態が続くと感覚がマヒし、便をためられるようになっていきます。 すると、前日の硬い便の上に新しく下りてきた軟らかい便が積み重なる「2階建て構造」となります。毎日排便があってもコロコロ便しか出ない場合は、こうした「2階建て構造による出口の便秘」状態になっていることを疑いましょう。
便ため習慣によるおしりのトラブルが続出
なぜ、こうした2階建て構造になってしまうのか。 ずばり、便意を我慢するからです。便意は予告もなく起こります。そのため、現代人は、便意が起きてもすぐにトイレに行けないことも多く、ついつい我慢をしがちです。そうやってトイレに行くのを後回しにする「便ためトレーニング」に励んでいると、便意は15分もすれば消えてしまいます。 しかし、一度直腸まで下りてきた便は、出してしまわないかぎりそこに居続けます。 忘れてはならないのは、便意を感じているときは、直腸と肛門はすでに排便態勢にあるということ。全部出し切って出残り便をつくらないようにするためには、この機を逃さず、トイレに行くことが大切なのです。 出口の便秘や鈍感便秘でもっとも多くあらわれるトラブルは、出口に残った出始めの硬い便が排便のときに肛門の皮膚を傷つける「切れ痔(裂肛)」です。そのほかにも、拭きすぎ、洗いすぎによる「温水洗浄便座症候群」、意図せず下着を汚す「ニセ便失禁」 や便によるかゆみ、便が硬くなり痛くて排泄が困難になる「便栓塞(糞詰まり)」など、さまざまな症状の誘因となります。 こうしたトラブルを予防するためにも、まずは便ため習慣を自覚し、出残り便をつくらないようにしましょう。