Bloomberg

（ブルームバーグ）： 米航空機大手ボーイングは、全世界の従業員の約10％を削減する計画だ。民間航空機と防衛部門を巡り、50億ドル（約7460億円）相当の費用を計上することも11日発表。ストライキが続く中で、同社の財務問題の根深さが浮き彫りとなっている。

ケリー・オートバーグ最高経営責任者（ＣＥＯ）は同日、今回の人員削減が約１万7000人になると従業員に文書で説明。幹部や管理職、一般従業員が対象になるとした。

また、ボーイングは開発中の大型ジェット旅客機「７７７Ｘ」の最初の納入を遅らせる方針だ。７－９月（第３四半期）の暫定売上高は市場予想に届かなかった。

オートバーグＣＥＯは文書で、「当社の事業は困難な状況にあり、われわれが共に直面している課題はいくら強調してもし過ぎることはない」と説明。「会社を立て直すには厳しい決断が必要であり、長期にわたって競争力を維持し、顧客のために業務を遂行するには、構造改革に踏み込まなければならない」と訴えた。

ジェフリーズのアナリスト、シーラ・カヒャオグル氏は顧客向けリポートで、平均年収を10万ドルと仮定した場合、今回の人員削減によって、利払い・税引き前利益（ＥＢＩＴ）で約17億ドルの節約効果が見込めると分析した。

ボーイングは７ー９月の売上高が178億ドルになったもようだと説明。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均（186億ドル）を下回った。また、11日発表された暫定値によると、ＧＡＡＰに基づく純損益は１株当たり9.97ドルの赤字だった。営業キャッシュフローは13億ドルの流出となりそうだ。同社は23日に決算を発表する予定。

ジェフリーズのカヒャオグル氏は11日、今回の暫定決算から９月末終了の同期間にフリーキャッシュフローが18億ドルの流出になることが示唆されていると指摘。これは、同氏が予想していた30億ドルのマイナスよりも良い数字であり、ボーイングのキャッシュ危機は一部が見込んでいたほど切迫したものではない可能性を示している。