【アルファードとレクサスLMに挑む!】新型メルセデス・ベンツVクラスがライバルに勝る部分とは
例の巨人たちを上まわる感動があるか?
試乗したのは、エアサスペンションを装着しているV220dロング。試乗コースはアスファルトの継ぎはぎが多かったが、そのような路面でもリアからの突き上げ感は抑えられていて、乗り心地は比較的良好な印象。ただ、例の巨人たちを大きく上まわる感動があるか? と言われると正直微妙だ。振動の収束や突き上げ後のフラットな印象は、国産ミニバン勢の方が強いと感じた。 完成度の高さを感じたのはパワートレインだ。2.0Lディーゼルターボエンジンと9速ATの組み合わせは、ディーゼルであることを忘れるほどシームレスで静粛性が高い。また車重は2.5トンを超えているが、それを苦と思わせずに走り、低回転からトルクが十分にある。ショーファードリブンに相応しい要素もしっかりと持っていて、重いこのクルマにピッタリだ。 さらにいい意味で予想を裏切られたのが高速での安定性。全高が高いにもかかわらず、直進安定性を中心に、ミニバンとしては高速域でのスタビリティが高く感じられたのだ。これはアウトバーンの国出身なのも理由だろうが、3200mmもある長いホイールベースが大きく影響しているはずだ。高速道路で快速な高級ミニバンが欲しい人にはお勧めと言える。 このジャンルにおいては日本車がパイオニアであるため、ライバルたちに対して、特に価格を含めた総合的な性能で上まわるのはなかなか難しい。ただ、Vクラスには他の高級ミニバンにはない魅力があり、その価値を感じられる人にとっては有力な選択肢となるはずだ。
西川昇吾(執筆) 神村聖(撮影) 平井大介(編集)