デジタル人民元、香港での越境試験運用を拡大──市民はウォレット利用が可能に
香港金融管理局(HKMA)と中国人民銀行は、デジタル人民元の越境試験運用のスコープを拡大、香港市民はデジタル人民元(e-CNY)ウォレットを利用できるようになった。 デジタル人民元は中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)。中国は数年にわたってデジタル人民元の試験運用を続けており、デジタル通貨の利用を模索しているを世界中の国々の中で最も進んでいる国のひとつとなっている。 利用者は電話番号だけでウォレットを開設でき、小売店などでいわゆる越境決済が可能となるが、個人間送金はできないと香港金融管理局は5月17日、プレスリリースで述べた。ウォレットは広東・香港・マカオのグレーターベイエリア(GBA)と呼ばれる地域と中国本土の複数の試験運用エリアで利用可能だ。 利用者は中国本土の銀行口座を開設することなく、デジタル人民元での直接決済が可能になると香港金融管理局のエディー・ユエ(Eddie Yue)総裁はリリースで述べた。香港の17の商業銀行で高速決済システム(FPS)を使い、リアルタイムでウォレットに入金できる。 香港金融管理局は中国人民銀行と連携して、デジタル人民元の利用範囲拡大に取り組む意向だ。名前認証のような機能の追加、決済の相互運用性および国境を越えた貿易決済のような企業のユースケースの強化にむけて、中国のデジタル通貨機構(Digital Currency Institute)と協力を進める計画だ。 中国と香港は2021年12月、デジタル人民元の越境試験運用の第1段階が成功し、その1年前に行われた協議を経て、第2段階に入ったと述べていた。 特別行政区である香港は独自の中央銀行デジタル通貨であるデジタル香港ドル(e-HKD)の開発も進めている。2024年3月には試験運用の第2段階に入った。 |翻訳:Shun Ide|編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:Shutterstock|原文:Hong Kong Expands Cross-Border Digital Yuan Trial, Allows Residents to Set Up E-CNY Wallets
CoinDesk Japan 編集部