バービーと付き合うまで選挙に行ったことのなかった僕が「投票に行きたい」と思った理由
僕の足が投票所に向かうことになったきっかけ
しかし、そんな僕が初めて自らの意思で選挙に行こうと思ったのが先述の29歳の頃。僕の足を投票所に向かわせる原動力になったのは『選択的夫婦別姓』だった。 当時、妻と結婚前に同棲を始めて2人の将来についてより具体的に話し始めていた。これから先も一緒にいたい。そのカタチをどうしようかと話し合っていた際に、僕は選択的夫婦別姓について初めて知った。 2人の愛のカタチについて思い悩んでいた日々のことは過去の連載『僕の妻は“女”芸人』に書き記しているので、今回は割愛させてもらうが、その当時の僕は、選択的夫婦別姓を選択肢のひとつとして選べるのならば選びたいと考えていた。 そして、さまざまなことを調べてみると、選択的夫婦別姓の法案が長らく見え隠れしていること、肯定的・否定的な政治家がそれぞれいることなどを知った。 その時に初めて「選挙に行きたい、いや行かなければ」と思った。この議論が何年も続いていることがじれったくも感じ、黙ってみている場合ではない。ようやく中学生の頃に社会科で習った「国民主権」の意味を当事者として理解できたような気がして、初めて自分の人生と政治が重なった。
初めての投票に身構えていたけれど
各政党や候補者の主張を調べ、迎えた選挙当日。当時、妻はアキレス腱を断裂する大ケガを負っており、ギプスで足を固定していた。その様子を側で見ていて、ケガをした足でも投票所に出向くのかと関心したことを覚えている。 また、選挙当日、僕らは喧嘩していて2人の間になんとも気まずい空気が漂っていた。どんな理由で喧嘩をしていたのかをどうしても思い出したくて、たった今長風呂しながら記憶を辿ったが、残念ながら思い出すことはできなかった。おそらく大した理由ではなかったのだろう。 想像していたよりも投票所は自宅からほど近い距離にあり、投票自体もあっという間だった。投票所の滞在時間は、ものの1~2分だ。面倒なことや難しいことは何もない。あまりにも簡単だったので、初めての投票に身構えていた分、安堵した。 そして、その夜。今までほとんど見ることのなかった開票速報をチェックするのが楽しくて仕方なかった。楽しいという表現は適切ではないかもしれないが、投票した人の当落は?などと気にかけながら、僕は明らかにワクワクしていた。 それからというもの、少しずつ政治に関心が向くようになった。「あの政策の進捗はどうなっているんだろう」「選択的夫婦別姓が実現されるとしたらいつ頃だろう、今どんな議論がなされているのだろう」テレビのニュース番組で政治に関する特集も気にして見るようになった。 X(当時のTwitter)でも政治にまつわるポストをチェックしていたら、アルゴリズムが、どんどんおすすめポストを表示してくれるまでになった。僕と政治の距離が縮まっていくのをひょんなことから感じることとなった。 ◇後編【バービーと同棲後、29歳で初めて選挙に行った僕が「友人と政治の話をしない」理由を考えた】では引き続き、選挙にまつわるエピソード、そして“政治の話はタブー”と昔からよく言われる理由について考え、感じたことをお伝えします。
つーたん(会社員)