5ナンバーサイズの「小型ミニバン」なぜ異様に売れる? トヨタ「シエンタ」&ホンダ「フリード」が絶大な支持を集める理由
モデル末期の「フリード」が売れまくり!?
ホンダは2024年5月9日、新型「フリード」の内外装のデザインを初公開し、翌10日に販売店で予約受注を開始しました。発売は2024年6月を予定しています。 一方で、現行型のフリード(2代目)は、フルモデルチェンジを控えたモデル末期だったのもかかわらず、2024年3月の小型/普通車の車名別登録台数ランキングで5位に入っています。 【画像】「えっ…!」カッコいい! これが新しい「フリード」です! 画像を見る(30枚以上)
同ランキングでは、1位がトヨタ「カローラシリーズ」、2位がトヨタ「ヤリスシリーズ」、3位が日産「ノート/ノートオーラ」、4位がトヨタ「プリウス」となっており、その次がフリードでした。 現行フリードは2016年に登場した8年前のモデルながら、2022年8月に登場したライバル車のトヨタ「シエンタ」を抜いたのです。 一方で2024年4月のランキングを見ると、さすがにフリードは順位を下げ、シエンタが急浮上。前年同月に比べて登録台数を12%増やし、小型/普通車登録台数では、1位のヤリスシリーズと2位のカローラシリーズに続いて3位に入りました。 シエンタはフリードに比べて設計が新しいですが、発売から2年近くを経過しており、それにもかかわらず前年同月によりも登録台数を10%以上増やしたことは注目されます。 フリードとシエンタは、ともにコンパクトミニバンです。このカテゴリーの販売動向が注目される理由は何でしょうか。 まずフリードの登録台数ですが、2023年の1か月平均は6464台で、国内で売られるホンダ車としては、国内販売ナンバーワンの「N-BOX」に次ぐ2位でした。2023年には、N-BOXとフリードだけで、国内で売られたホンダ車の52%に達しています。 この背景にはN-BOXの大ヒットがあります。2017年に発売された先代N-BOX(2代目)が好調に売られ、近年では国内で売られるホンダ車の40%近くを占めています。 この影響でホンダのブランドイメージが「小さくて背の高い実用車のメーカー」に変わり、そこにピッタリ合った商品として、フリードがモデル末期ながら好調に売られているのです。 商品力を客観的に判断すれば、フリードよりも設計の新しい「フィット」や「ステップワゴン」、「ヴェゼル」などが魅力的ですが、ブランドイメージの効果で2023年のホンダの国内販売は1位がN-BOXで2位がフリードでした。 フリードの人気について、ホンダの販売店は以下のように述べています。 「フリードは、現行モデルもコンパクトなボディながら居住性や積載性が優れ、人気の高い商品でした。ステップワゴンからフリードに乗り替えるお客様も多かったです。 そのためにフリードは、2024年3月頃までは売れ行きを下げず、現行モデルの在庫車もお客様に好条件を提示して確実に売り切りました」 つまり2024年3月に、フリードが小型/普通車の車名別登録台数ランキングで5位に入った背景には、現行モデルの色褪せない魅力と在庫車の好条件の提示による大量販売があったのです。 また販売店からは、前述の通り、ステップワゴンからフリードに乗り替えるユーザーが増えているという事情も聞かれました。 「今のステップワゴンは、標準ボディの『エアー』でも全長は4800mmで、全幅も1750mmとワイドです。価格は最も安価な1.5リッターターボのエアーでも300万円を超えます。 エアロパーツを装着してハイブリッドのe:HEVを搭載した『スパーダ』は約370万円に達します」 高めの価格設定とした結果、今のステップワゴンは購入しにくく、設計が古くてもコンパクトで安価なフリードが求められるようになったというわけです。 現行モデルのフリードは5ナンバー車で、最も安価な「1.5G」の価格は233万900円に収まります。 ちなみに新型フリードは安全装備の充実などによって価格が上がるとされており、最も安価なモデルでも250万円前後になりそうです。 とはいえ、ステップワゴンのエアーに比べると50万円以上安く、新型フリードも堅調に販売されるでしょう。 なお、新型フリードのアウトドアグレード「クロスター」は、全長は4300mmを超えて、全幅を1720mmに拡大。同車初の3ナンバーサイズとなりました。