悪いことだけじゃない!?長期金利上昇で「国の借金」の利払いは増大するが…家庭にとってはプラスに?
日銀「長期金利の上昇」を容認…財政再建へ転換は容易との見方も
長期金利が上昇している。日本は千兆円超の国債を発行して巨額の借金を抱え、金利上昇は利払い増大で国民負担が増えるとみられている。一方、財政再建への転換はその気になればすぐにもできる、との指摘が専門家から出ている。将来の生活はどうなるのだろうか。 【これが現実!】ホントだ…! 金利の上昇が家庭には有利なワケ… 長期金利の指標となるのが10年もの国債の利回り。日本銀行の超低金利政策で、ゼロに近い水準に抑えられてきた。それが今年10月末の債券市場で、国債の売り圧力が強まり、利回りが0.955%まで上昇し、およそ10年半ぶりの水準になった。 国債などの債券は価格と利回りが相反する関係にあり、価格下落なら利回り上昇、価格上昇なら利回り低下となる。日銀は政府発行の国債を金融市場で大量に買い支えて価格下落、金利上昇を抑えてきた。日銀はそうした方針を維持しながらも、最近は長期金利の上昇をある程度、容認する姿勢に転換した。 ◆「国の借金」…金利上昇1%で年間10兆円の利払い増 政府は国債の償還期限(返済期限)が来ると、返済資金が足りないため、借り換えることが多くなる。千兆円の借金があるとして、すべてを一斉に借り換えるわけではないが、すべてを一斉に借り換えた場合に1%の金利上昇は年間10兆円の利払い増と試算される。今年度の政府当初予算は総額約114兆円で、税収は70兆円弱。足りない分は国債などの借金でまかなっている。金利の上昇で利払い費が増えると、財政運営に及ぼす影響は大きい。 政府はデフレ対策として、国債を大量に発行し、お金をばらまいてきた。日銀はその国債を金融市場で買い入れるとともに、超低金利政策をとることで、政府の利払い費が重くならないようにしてきた。日銀の手法は「イールドカーブ・コントロール(YCC)」と呼ばれ、10年もの国債の金利を「ゼロ%程度」に誘導するように国債を買い入れてきた。いわゆる「ゼロ金利政策」だ。 一方、世界では景気の拡大や原油価格の高騰などで物価が上昇し、これを抑えるために各国が金利を引き上げてきた。世界的なインフレの影響で、国内の金融市場でも金利上昇へ圧力が強まった。 日銀はYCC手法を使い、長期金利がゼロ%よりも上振れる許容範囲を0.25%程度、0.5%程度などと相次ぎ見直した。この許容範囲を7月末に「上限1%」としていたが、10月末には「1%をめどにする」と変更し、1%超の金利上昇も容認する姿勢に転じている。日本も金利が上昇する方向となっている。