親に「扶養から抜けるな」と言われている大学生です。友人は「年120万円」稼いでいて、親から何も言われないそうです……扶養から抜けると何がいけないのですか?
アルバイトの収入が年間で103万円を超えると、扶養から抜けることになるため、その範囲内で働くよう言われた経験のある大学生の方はいないでしょうか。一方で、「どうしてだろう」と思ったことはないでしょうか。 そこで、扶養から抜けると何が問題なのか、考えてみました。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
親が「扶養から抜けるな」と言う理由
親が「扶養から抜けるな」と言うのには、いくつか理由があります。その理由として最も大きいであろうものに、税金の問題があります。年間の給与収入が103万円を超えると、その人は「扶養親族」から抜けてしまうのです。 扶養親族とは、扶養控除の対象となる親族のことをいいます。配偶者以外の親族であることや納税者と生計を一にしていることなどの要件がありますが、その中に所得要件も含まれており、給与所得だけの場合は、給与収入が103万円以下である必要があります。 扶養親族のうち、その年の12月31日時点の年齢が16歳以上の「控除対象扶養親族」に該当すると、年齢や同居の有無などにより異なりますが、所得税の場合、扶養する方は38万円~63万円の控除を受けることができます。 「控除」とは収入のうち、課税対象となる部分を減らすことができるものです。逆にいうと、控除対象の扶養親族が減ることで、その分税金が上がるというわけです。 大学生の場合、留年などしていない限り、一般的には「特定扶養親族(その年の12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族)」に該当します。国税庁によれば、特定扶養親族は控除の額が63万円となります。つまり、課税対象となる金額が63万円も少なくなるわけです。 言い換えると、「大学生の子どもが103万円を超えて稼ぎ、親の扶養から抜けることで、親の税金は収入63万円分増えてしまう」というわけです。 なお、住民税の場合、特定扶養親族の扶養控除額は45万円となります。
仮に扶養から抜けると、どれくらいの額の税金が増えるのか
大学生の子どもが親の扶養に入っているからといって、控除分と同じ額だけ税金が安くなる、というわけではありません。税金は、課税対象となる金額に対して、その金額に応じた税率でかかります。 仮に、年収450万円の世帯において、親の所得税率が5%と仮定しましょう。その場合、63万円の扶養控除があるとないとでは、単純計算で、税金の額に年間3万1500円もの差が出ることになります。 なお、住民税所得割の税率は、収入や所得に関係なく、10%になります。上記の事例で計算してみると、子どもが扶養から抜けることで、親の税負担は単純計算で年間4万5000円増えることになります。