鹿島も横浜も川崎も“強さを継承する難しさ”に直面。Jを代表する強豪クラブになるために「人」「カネ」「哲学」で重視すべきは?
揺るぎのない「哲学」が最善の策に
Jリーグに、誰の目にも明らかな強豪クラブが存在しないのは、とにかくクラブ数を増やして横への拡張路線を突き進み、縦の階層を作ってこなかったからだろう。 ここにきて、ようやくJリーグは今後の成長戦略として、「世界と肩を並べるようなトップクラブを生み出す」ことを掲げ、カテゴリー間の格差をより明確にしていく考えを示している。 国内に「ここでプレーしたい」と若い選手たちが憧れるようなビッグクラブが誕生すれば、有望株の海外流出もある程度は抑止できるだろうし、リーグ全体の競争力アップにもつながるはずだ。 しかし、そんな未来が訪れるのは、まだまだ先の話だろう。当面は「カネ」も「人」も限られるなかで、いかに強さを継続させられるかを模索していくしかない。 だとすれば、やはり揺るぎのない「哲学」のもと、独自のスタイルを築き上げ、ブラッシュアップしていくことが最善の策に違いない。ジネディーヌ・ジダンやカルロ・アンチェロッティのようなマネジメント能力に秀でた指揮官が、当代随一のスター選手たちを気持ち良くプレーさせることで強さを維持してきたR・マドリーにはなれなくても、カンテラの若者を大切にし、ボールゲームという立ち返るべき原点を持ったバルサになら、Jクラブでも近づくことは可能ではないか。 財政難に苦しみ、宿敵R・マドリーとの比較で近年は浮き沈みが激しいバルサだが、それでも欧州のトップレベルを維持できているのは、自前で育てた極上のタレントが、いつの時代もチームを支えてきたからだ。 シャビ、アンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシ、ジェラール・ピケが去っても、ガビ、フェルミン・ロペス、パウ・クバルシ、マルク・カサド、そしてラミン・ヤマルといった新たな才能が、とめどなく出現する。 そんな枯れることのない才能の泉を見つけ出し、それを有効活用できる監督――かつてのペップや現在のハンジ・フリックのような――に出会えたクラブが、いつかJリーグを代表する強豪クラブと呼ばれるようになるのかもしれない。 文●吉田治良
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