亀田製菓インド出身会長は「カテキン」の生みの親だった! 研究者から経営者へと転身した、不屈の仕事魂
社員全員がグローバル担当になる
亀田製菓のCEOに就任後、ジュネジャ氏は、亀田製菓の名を世界に轟かせるべく、組織改革を行なった。 「国内米菓の研究、開発力を食品事業、海外事業にも展開するべく、グローバル・ライスイノベーションセンター(GRIC)を創設し、横串の組織に変えたのです。これまで生産を担当してきた人は、インドでの生産についても考える。マーケディングを担当してきた人は、中国でのマーケティングも考える。海外で仕事なんてしたことのない社員がほとんでしたが、みなさん今はイキイキと海外にあるグループ会社で働いたり、出張に出たりしていますよ」 英語やビジネスに特化した人材に海外事業を任せるのではない、それまで亀田製菓の仕事に愛着と誇りを持って働いていた同じメンバーを海外へ行かせる。そこにこそ、ジュネジャ氏はこだわっている。 「亀田の柿の種、すごく美味しいですよ。こんなに美味しいものをつくれる、その術(すべ)を持っているのは、それまで製造、販売してきた人です。その魂を伝える、同じメンバーで世界に行くのです。それを考えるとワクワクするでしょう? 英語ができないなら、頑張って学べばいいだけのこと」 関連会社は、現在アメリカに3箇所、中国、ベトナム、タイ、カンボジア、そしてインドに展開。亀田製菓のメンバーは、まさに世界を飛び回り、ジュネジャ氏自身もほぼ毎月、海外出張に出ているという。 「世界に自分の製品を出すプランを描き、そして情熱と魂を注ぐ。これは私が太陽化学にいた頃から続けて来たこと。こんなにいい商品を持っているのですから、ドメスティックに、内側でだけ仕事をするだけでは勿体無い。それは日本の他の企業にも言えることでしょう。弊社はどんどん社員に外に、世界に出てもらいますよ」 それまで愛着をもってしてきた仕事の舞台を世界に――。ドラマティックなこの展開を社員たちは楽しんでいるのだという。社内では英語学習の支援なども行われ、英語力0から海外事業に携わった人も。新たな挑戦をすることで、人は成長し、そして企業はますます大きくなるだろう。 インタビュー3回目は、インド人経営者独自のマインド、そして日本企業に今必要なものをジュネジャ氏に教えてもらう。 ジュネジャ・レカ/Lekh Juneja 1952年インド・ハリヤナ州出身。1984年大阪大学工学部に研究生として入学。1989年太陽科学入社。2003年に代表取締役副社長に就任。2014年にロート製薬へ移り取締役副社長に。ロート製薬子会社の社長なども務め、2020年に亀田製菓へ副社長として入社。2022年代表取締役会長CEO就任。
TEXT=安井桃子