【ハイライト動画あり】ブレイブルーパス東京、リーグワン初制覇。互いの力を引き出し合う激闘の末に。
後半、先に手を打ったのは埼玉WKだった。やや圧力を受けていたスクラムのFW第一列を全員交代させたのだ。今季限りで引退を表明しているHO堀江翔太の登場に国立が沸いた。しかし、BL東京のスクラムはその後も安定し、後半5分には攻め込んだラインアウトからの攻撃でナイカブラが右タッチライン際を抜け出してトライ。モウンガが難しいゴールを決め、17-6とリードを広げた。
埼玉WKも食らいつく。後半12分、モウンガのロングキックを切り返して流れをつかむ。松田の防御背後のキックを追った竹山が足にかけ、ゴールライン直前まで迫る。BL東京の松永拓朗が懸命の戻りでこのボールを確保。すかさず埼玉WKのFLベン・ガンターがジャッカルでボールを奪いそのままトライ。ピンチとチャンスは隣りあわせ。幾重にも好プレーが重なる攻防が観客を魅了する。28分にはボーシェーのジャッカルでチャンスを得た埼玉WKが小山のトライで逆転。松田のゴールも決まって、17-20とする。一つのタックル、パス、ラン、反則が勝敗を分ける緊迫感ある激闘に、観客席の胸の鼓動が聞こえてくるようだった。
試合を決めたのは後半34分、BL東京の交代WTB森勇登の逆転トライだった。交代出場のCTB眞野泰地の突破、LOアニセ・サムエラの突進などで13フェーズの連続攻撃から右タッチライン際を松永が抜け出し、ナイカブラ、森とつないでインゴールへ持ち込んだのだ。スコアは、24-20。しかし、このまま試合は終わらない。さらに観る者の胸を熱くしたのはこの後だ。埼玉WKは一人一人が丁寧にボールをつなぎ、16フェーズにも及ぶ連続攻撃から交代出場のWTB長田智希がインゴールに躍り込む。歓喜の埼玉WKサポーター。力を振り絞ってタックルを続けたBL東京の選手たちは膝をつき、天を仰いだ。野武士軍団の王座奪還を誰もが信じた。
しかし、TMOのチェックが入る。TMOはトライに至る3フェーズ前まで確認することができる。埼玉WKが高いスキルでパスをつないだため、最後も長い連続攻撃に見えたが、ラック、モールがなければフェーズにはカウントされない。さかのぼる範囲内で堀江翔太のパスが前に投げるスローフォワードと判定されトライはキャンセル。その後、わずかに時間が残り、埼玉WKに攻撃機会が巡ったが、最後はナイカブラのジャッカルで万事休す。勝者と敗者が紙一重の激闘は幕を閉じた。プレーヤーオブザマッチは、爆発的なスピードで2トライをあげたナイカブラが選ばれた。