名勝負必至のバチバチ火花が面白い…11.1さいたまSAで拳四朗vs京口紘人の統一戦が決定…3本のLフライ級世界ベルトが集結
互いに準備も進んでいる。 京口は、すでにハワイで1週間の走り込みキャンプを張ってきた。なにより完全アウエーの海外での2度の防衛成功に自負がある。 プライベートでの交流も深い“親友”のバンタム級の3団体統一王者、井上尚弥(28、大橋)からは「頑張ってね」と応援エールをもらった。 「何年も前から統一戦をやっちゃいなよ、とフラットな会話で言われてきた。国内で一番盛り上がるカードかなと思う。それに見合う試合をして勝ちたい」 一方の拳四朗は、先月末からスポンサーのイベントで米国ロスに飛び、多くの刺激を受けてきた。ひとつは、エンゼルスの大谷翔平の試合観戦だ。アナハイムのエンゼルスタジアムを訪問。ベンチ前まで降りることが許され、エ軍の広報や現地メディアの取材を受けた、対面の時間はなかったが、ジャンルは違えど、同じく世界のトップで戦う大谷の姿を観客席から試合を見て「ああいう大きい舞台で堂々とバッターボックスに立ってバットを振っている姿を見て凄いなと感じた」と刺激を受けた。何万人もの観衆の中にいたことで「(さいたまスーパーアリーナの)会場に立った気分でいい経験ができた」とシミュレーションもできたという。 2日間だけだが、ノックアウトボクシングファシリティージムでWBA世界フライ級8位のアンソニー・オラスクアガ(米国)や、東京五輪の米予選で準優勝しているアンソニー・ヘレラ(米国)らと16ラウンドのスパーを行った。 「パンチが強い。打ち方なのかめちゃくちゃ重い。それと比べたら京口のパンチは怖くない」と新たな自信を深めて帰国した。 さて注目の試合はどうなるのか。 参考になるのは、2人がガチで戦った4年前の後楽園でのスパーの2ラウンドだろう。1ラウンド目は京口が、左フックをヒットさせ、拳四朗がバランスを崩すなど優勢だったが、2ラウンド目は、拳四朗が足を使い、左ジャブでリードするなど寄せ付けなかった。 これも拳四朗が、「自分の距離で戦えた。やりやすい感じがあった」と言えば、京口は「14オンスでヘッドギアをつけていては参考にならない」と、正反対の捉え方をしている。 2ラウンド目のように左ジャブを軸に距離を重要視して「勝ち」に徹するボクシングをすれば拳四朗、1ラウンド目のような殴り合いになれば京口に勝機が生まれるだろう。京口も「彼は遠い距離では強い選手。極力自分の距離に持ち込みたい」と勝敗を分けるポイントを隠さなかった。 ただ、拳四朗は、矢吹を倒してベルトを取り返したリベンジ戦でインファイトという新境地を見せてバリエーションを増やした。 「どっちがあてはまるか。どっちでもいける用意をしておく。どっちでも勝てる」 それでも京口は「アマ時代はファイターだった。本来の形に近いんじゃないですか」と言うから、拳四朗の新しいスタイルへの対処にも不安はない。11月1日に格闘技の殿堂にどんなドラマが待ち受けているのだろうか。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)