積み立て投資は心が落ち着く

中井さんは長期投資セミナーの講師歴10年以上ですが、実は使っているレジュメの内容は10年前も今もほとんど同じです。長期投資の基本的な考え方は、時代に左右されないのです。 その中で彼女が特に強調するのは、「一括投資と積み立て投資はまったく考え方が違う」ということ。 たとえば、今、手もとに1000万円あって、基準価格1万円のAという投資信託を買い、そのまま10年間寝かしていたら、運良くAの基準価格が3万円になったとします。すると評価額は3000万円。立派な財産です。これが一括投資です。 しかしAという投資信託の値段が下がって、基準価格が8000円になっていたら、評価額は800万円ですから、損が出てしまう。一括投資の不利な点です。一括投資をする場合は、なにに投資するかはもちろんのこと、タイミングが重要なのです。 ただ、最初から1000万円の資金が用意できる投資家は多くはありません。毎月のお給料から少しずつ積み立てをして、資産を増やそうと考える人が多数派でしょう。そういうニーズに合っているのが積み立て投資です。 積み立て投資の場合、毎月少しずつ投資信託を買うという形です。基準価格が上がったときも、下がったときも1万円ずつ投信を買っていたら、どうなるでしょうか。 基準価格が高いときは少なく買えるし、基準価格が下がっていればたくさん買えます。これを長い時間かけて続けると、結果的にリスクが軽減するのです。昨今の株価暴落で、自分が買っている投資信託の基準価格が暴落したとしても、バーゲンセール中だから安く買えると思えるので、心理的なストレスがありません。 「相場が右肩上がりの時代なら、一括投資がよいと思いますが、世の中、何が起こるかわかりません。私自身の経験から言っても、やっぱり心安らかに長きにわたって続けられるのは、積み立て投資だと思います」(中井さん) ▶続きの【後編】では、 自分にあった投資信託を選ぶための、知っておきたい7つのポイントについてお届けします。