瀬戸大橋線立ち往生、幅70センチの金属板を渡し乗客を横付けした列車に移す
JR瀬戸大橋線の快速が、瀬戸大橋上で架線の切断により、立ち往生した問題は、乗客約150人が最大約6時間車内に閉じ込められる事態となった。JR四国は10日の記者会見で、対応まで時間がかかったことを謝罪し、原因究明を急ぐ考えを示した。(黒川絵理、須藤さくら) 【写真】橋の上で立ち往生したマリンライナー
「結果として長時間かかってしまった。申し訳ない」。JR四国の幹部は10日夕に開いた緊急の記者会見で、乗客への対応を問われ、謝罪を繰り返した。
高松発岡山行き快速「マリンライナー10号」が、瀬戸大橋上で停車したのは同日午前7時40分頃。別の列車を現場で横付けさせ、橋桁から海上まで約30メートルの高さがある中で、車両の間に幅約70センチの金属板を渡して、乗客を移し、乗り換えが完了したのは午後1時半頃だった。
トラブルの発生後、社内では別の列車で快速をけん引することや、現場までバスで向かい乗客に乗り換えてもらうことなどを検討。しかし、架線が断線して危険なことや、乗客が橋の上を歩くのは危ないと判断し、対応を実行するまで時間がかかった。
同社は横付けした列車に乾パンやチョコレートなどの食料や飲料水を積み込み、乗り換え後に配ったという。
岡山県津山市で行われるサッカー部の試合に出るため、快速に乗っていた高松市の高校1年生(15)は、岡山駅で取材に応じた。快速は「ドン」という音と衝撃の後、「急停車します」というアナウンスがあり、ゆっくり止まったという。
高校1年生は「『列車から煙が出ている』とも聞いた。乗客は座って待っていたが、何が起きているのかわからず不安だった」と振り返った。試合には出られなくなったといい、「帰りは親に車で迎えに来てもらう」と、疲れた様子で話した。
同社によると、瀬戸大橋線での同様の事例では近年、2018年3月に強風により特急が5時間止まった。ここ数年は強風が予想されれば事前に運転を見合わせる「計画運休」としており、発生していなかった。天候以外の原因では12年1月に車両故障で快速が約4時間停車した例があるという。