“乳がん検診”で「要精密検査」と判定されたら? 細胞診・針生検についても医師が解説
画像で乳がんを疑う所見が! 追加検査について医師が解説!
編集部: 「細胞診」について教えてください。 吉田先生: 「細胞診」とは、病変が疑われる部分に細い針を刺して細胞を取り、確認する検査です。体への負担が比較的少ない検査で、主に良性疾患を疑うときに行います。また、乳頭からの分泌液を取って調べるときもあります。 編集部: では、針生検はどんな検査ですか? 吉田先生: 「針生検」は組織検査とも呼ばれ、主に乳がんが疑われる時などに病理診断を確定するための検査です。注射針より太い針(約2mm)を使用して病変の組織を取ります。先ほどの細胞診に比べて確実な診断ができ、乳がんであった場合は組織の種類や性質なども調べることができる検査です。また、最近は吸引式針生検という方法で組織検査を行うこともあります。針は太くなりますが、採取できる組織量が増えるのがメリットです。 編集部: では、針生検で乳がんと診断されるのですね。 吉田先生: そうですね。針を刺すので痛みを伴いますが、顕微鏡でがん細胞の有無を確認して診断が確定するので、治療に進むためにも必要な検査になります。痛みについては、局所麻酔を使うことができます。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 吉田先生: しこりなどの自覚症状があって受診した方より、検診結果から受診された方のほうが早期乳がんの割合が高いことが分かっています。厚生労働省の「令和2年度地域保健・健康増進事業報告の概況」では、精密検査を受けた方の約4.7%の方からがんが発見されました。つまり、95%以上はがんではなかったということになり、要精密検査になったとしても悲観的になる必要はありません。しかし、楽観的になりすぎるのも良くないので、要精密検査と判定された場合は、その理由を知るためにも必ず精密検査を受けましょう。
編集部まとめ
今回は、乳がん検診で「要精密検査」とされた場合の追加検査などについて解説していただきました。精密検査を受けた方の中でも、がんが見つかったのは約4.7%という結果が出ているそうです。決して高い割合ではありませんが、楽観的になったり悲観的になったりして受診を先延ばしにしていると発見が遅れてしまうリスクもあります。検診で「要精密検査」と言われたら、乳がん専門医のいる医療機関できちんと精密検査を受けましょう。
【この記事の監修医師】
吉田 崇 医師(高崎乳腺外科クリニック) 1992年に山梨医科大学(現 山梨大学医学部)卒業後、埼玉県立がんセンター 乳腺外科、群馬大学医学部附属病院 乳腺内分泌外科、SUBARU健康保険組合 太田記念病院 乳腺外科などで経験を積み、2020年、群馬県高崎市に「高崎乳腺外科クリニック」を開院。日本乳癌学会 乳腺専門医・指導医、日本外科学会 外科専門医・指導医、検診マンモグラフィ読影認定医(A判定)、乳がん検診超音波検査実施・判定医。
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