【本と名言365】テレンス・コンラン|「良いデザインは万人に…」
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。イギリスにとどまらず、世界規模でライフスタイルの変革を起こしたテレンス・コンラン。デザイナーであり、ショップのオーナーでもあった彼が大事にしていたこととは。 【フォトギャラリーを見る】 良いデザインは万人に開かれていて、なるべく多くの人々に使ってもらえるものでなければならない 保守的な思想が根強かった戦後復興期のイギリスにモダンデザインの思想を持ち込み、新時代の住環境を提唱したテレンス・コンラン。1940年代後半からデザイナーとして活動を始めると、1964年、ロンドンに〈ハビタ〉をオープン。ただ単に家具や食器を並べて売るのではなく、暮らし方をトータルで提案し、ライフスタイルショップの先駆けとして注目を集めた。 その後、レストランやホテルのデザインも手がけるなど活動の幅を広げ、1973年、「良いデザインは万人に開かれていて、なるべく多くの人々に使ってもらえるものでなければならない。そして、デザイナーの役割は、暮らしに現代的な感覚を取り入れた解決策を提供することにある」という理念を反映した〈ザ・コンランショップ〉をオープン。イギリスだけでなく、世界中から「無駄なく、シンプルで、実用的」な家具やインテリア小物、テーブルウェアなどを厳選。独自にスタイリングした空間は暮らしのインスピレーションを与える場としても機能。 〈ザ・コンランショップ〉は世界の主要都市に出店し、テレンス・コンランのデザイン思想が広く親しまれることになった。80年代には私財を投じて世界初のモダンデザインに特化した美術館〈デザインミュージアム〉を創設。展覧会だけでなく教育プログラムも開催し、後世のデザイナー育成にも注力。優れたデザインによって、真の心地よい生活を届けたいと願った彼の美意識は今も多くの人に引き継がれている。
テレンス・コンラン
1931年イギリス生まれ。デザイナー。デザインからモダンなライフスタイルを提唱し、インテリア用品のセレクトショップやレストラン、ホテルなどを世界各都市で経営。デザインミュージアムを創設するなど、デザインにおける長年の功績を認められ、騎士の称号を得る。2020年没。
photo_Miyu Yasuda text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi ...