【角田裕毅F1第19戦分析】ライバルに反応した急なピット戦略にフィードバックも返せず。不運も重なりタイムロス
F1第19戦アメリカGPの予選を6番手で終えていたジョージ・ラッセル(メルセデス)が、Q3でクラッシュを喫してパルクフェルメ状態でマシンを修復したため、ピットレーンスタートとなった。これにより、予選11番手だった角田裕毅(RB)は10番手からのスタートとなった。 【写真】2024年F1第19戦アメリカGP 角田裕毅(RB) スタートでフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が出遅れて9番手へ浮上。その後、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)を抜いて8番手で1周目のコントロールラインを通過したとき、角田もチームも入賞を期待したに違いない。 ところが、この後、角田とチームはフラストレーションの残るレースを展開してしまった。 ひとつ目の誤算は、ピットストップのタイミングだった。1周目のコントロールラインを8番手で通過したとき、角田の前には7番手のケビン・マグヌッセン(ハース)がいた。通常であれば、RBにとって8番手はまったく悪くないポジションだったが、前日のスプリントでダブル入賞したハースにコンストラクターズ選手権6位の座を奪われていたRBにとって、マグヌッセンの存在はいつも以上に意識していたとしても不思議はなかった。 そのマグヌッセンが17周目にトップ10のなかで最初にピットインした。これを見て、RBは角田に翌周ピットインの指示を送った。 「急に『ピットに入れ』と言われました。突然だったので、ドライバーからのフィードバックもできなかったです。あれはよくなかったと思います」 角田にとって不運だったのは、3周目にピットインしたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)の後ろに下がったことと、6番手だったピエール・ガスリー(アルピーヌ)が角田と同じタイミングでピットインしたものの、ピット作業に手間取ってマグヌッセンにアンダーカットを許しただけでなく、角田の直前でコースに復帰したことだった。 じつはマグヌッセンは2ストップ作戦だった。これにつられて1ストップ作戦だった角田がピットインしたことで、角田の戦略は厳しくなった。しかも、2ストップ作戦のマグヌッセンはアルボンを簡単に抜いていったが、目の前のガスリーは交換したタイヤでチェッカーフラッグまで走り切らなければならないため、プッシュできずに、しばらくの間、アルボンの後塵を拝していたため、アルボンとガスリーに引っかかる形で角田はタイムを失っていった。 この間にタイヤを交換しないで走り続けていたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)やリアム・ローソン(RB)にオーバーカットされた角田。最後尾スタートだったローソンが36周目にピットインして、角田の前でコースに復帰したとき、目の前でコースに合流するチームメートを見た角田は思わず、「いったい、どうなっているの?」と無線でチームに理由を尋ねたほどだった。 さらに12コーナーでアルボンを抜いた際に、相手をコース外に押し出したとして、5秒ペナルティを科せられた角田。そのハンディを挽回しようとプシュしすぎたのか、41周目の1コーナーでブレーキをロックさせた後に単独スピンを喫して、14番手まで後退してしまう。チームの戦略ミスとレーススチュワードによる不可解な裁定があったとしても、プロのレーシングドライである以上、単独スピンというミスは許されない。 レース後、「このレースで一番のフラストレーションは何?」と尋ねると、角田はこう即答した。 「自分が犯したスピンです」 強くなってメキシコGPに帰ってきてほしい。 [オートスポーツweb 2024年10月21日]