【女性の痔】お尻の拭き過ぎには要注意! 誰にも聞けなかった「痔の取り扱い説明書」
他にもいろいろ、知っておくと良い痔のマメ知識
◆痔に年齢は関係なし。子供だってなります! 「痔の発症年齢は幅広く、小さな子供でもなります。 子供に多いのは、切れ痔です。私が問診で話を聞いている印象では、その原因のほとんどは水分不足による便秘だと思われます。そしてそういう子供の場合、親があまり水分を摂っていないことが多いんです。子供はよく汗をかくしヨダレの量も多いので、大人より水分を多く摂る必要があります。でも子供は『1日1.5~2リットルの水を飲みなさい』と言われてもピンとこないもの。だけど親がこまめに水を飲んでいると、自然とその頻度を真似るようになるんです。だから私は、子供が痔を患って病院に来たときは、必ず親に『こまめに水を飲んでいる姿を見せてあげてください』と伝えるようにしています」 ◆痔は遺伝するものではないけれど…… 「親子で痔を患っているということは少なくありませんが、痔は遺伝するものではありません。これは、親子ゆえに同じ生活をしていることが原因だと思われます。たとえば生活習慣が似ているとか、便秘を引き起こしやすい食生活を送っているとか。痔は生活習慣病の一つとも言われているので、こういった生活習慣を正すことが一番の改善の近道です。 ただし冷え性体質というのは親子で似る傾向があるので、これが原因で親子ともに痔になりやすい、という可能性はあります。また女性の場合、ホルモンバランスなどで便秘や下痢を起こしやすく、それが痔につながる可能性もあるでしょう」 ◆肛門の脱毛はあまりオススメしないけれど…… 「肛門まわりの毛を脱毛する人は増えていますが、もともと必要だからそこに生えているもの。もちろん取らないほうがいいとは思いますが、『やめましょう』とも言い切れないのが実情です。 というのも超高齢化時代に生きる私たちは、将来介護をされる可能性が高い。そんなときに介護される側からすると、お尻の毛がないほうが清潔なのではないか、介護する方に迷惑がかからないのではないか、と思う方が増えているようです。それゆえ50歳を過ぎてから脱毛をする人も少なくありません。とくにレーザー脱毛は、黒いものに反応して破壊するという原理。白髪になってしまうと脱毛じたいができなくなってしまうのではないか……と、若いうちに脱毛をする人も多いんです。そういう事情があるので一概に『やめましょう』とは言えないのですが、やはり医師の立場からすると複雑な気持ち、というのが正直なところです」 ◆多分、痔を患っている人はアナタのまわりにたくさんいる! 「最近は痔を患う女性、そして痔の病院に来られる女性は本当に増えています。それは痔の専門クリニックの広告が、女性ファッション誌に掲載されるようになっていることからも明らかだと思います。だから過度に恥ずかしがらないで。おそらく職場で『私、痔なんだよね』と大声で言ったら、『実は私も』と明かす人はたくさんいるはずです(笑)。 一方で、痔だと思い込んで病院に来られたものの違っていた、という人も多い。肛門まわりの皮フというのはそんなにツルンと平なわけではなく、ある程度凸凹しているもの。これを『痔では!?』と思い込んでしまうようです。痔は痛みがなければそこまで心配する病気ではないので、あまり神経質にもなり過ぎないでほしいと思います」 痔は生命にかかわる病気ではないけれど、恥ずかしさから過剰に不安になっている女性は多いはず。でも今は、痔は女性にとって当たり前のものとなっているよう。気軽に病院を訪れて、上手く付き合っていってください!
【Profile】草間 香(くさま かほる)先生
1993年金沢医科大学卒業。外科専門医、日本大腸肛門病学会専門医取得。2007年に「草間かほるクリニック」(東京都港区)を会員。テレビや雑誌などでも、分かりやすく痔の解説をおこなっている。著書に『痔の悩みが解決する本 安心ハンドブック』(IDP出版)がある。