腕に宿る小さな宇宙 シチズン時計の「カンパノラ」コスモサインの魅力
「AO4010-18M」のオリジナルが登場したのは2001年のこと。 「コンセプトや基本的なデザインは変わっていませんが、星座盤をリニューアルしました。補助線を加えたり、色分けしたりすることで、先代モデルよりも星が見やすくなっています」 星座盤に加え、ディテールもアップグレードされた。 「風防には視認性の高いサファイアガラスを採用しました。内側も外側もドーム形状になったデュアル球面形状のガラスを使用し、表面にも光透過率を高め、反射を抑えるクラリティ・コーティングを施しています」
星の精密な動きを実現する自社製ムーブメントにも注目だ。 「搭載されたCAL.4398は、初代モデルから継承したムーブメントです。開発にあたっては、星の動きの誤差を限りなく小さくするために、当時はまだ一般的ではなかったコンピュータ計算を導入しました。CPUを搭載しているわけではないのですが、最適な速度で回転するよう調整された輪列によって、一年を通して変化する星の動きを最小限で再現できます」
時刻を知るためだけではない、「時を愉しむため」の腕時計
そんな「AO4010-18M」は、主にどんな層に支持されているのだろう? 「年齢層や性別の偏りはあまり見られません。天文表示時計の愛好家の方はもちろんですが、ほかにも機械式時計のファンの方、人とは違う腕時計を好む方、天体に興味がある方などさまざまです。女性が着けられるミドルサイズも展開していることもあって、女性ファンも徐々に増えています」
コスモサインはシチズン時計が手がけるブランドの中でも、特異な存在だという。 「コスモサインは星空を再現することを優先した腕時計です。時刻の視認性を重視するシチズンブランドのコンセプトとは異なりますが、私はこの点にこのモデルの存在意義があると思うんです」 一日の終わりに、自宅でひとりくつろぎながら、腕時計を眺めて星の運行や宇宙に思いを馳せる。こんな豊かなひとときを過ごせることが、コスモサインの持ち主に与えられる特権なのだ。