「肺に先天性障害」の中学生、弟と実現した修学旅行 「俺だってスプラッシュマウンテンに乗りたいよ」
医療従事者として、間違ったことは何一つしていないのだが、火傷の患者がある種のクレーマーだった。受診したクリニックの「医師の説明がわかりにくい」と言い出し、付き添ったナースにまで、その矛先を向け始めた。 「医師の施した処置には何ら問題がなかったのですが、患者さんは、『この火傷はもっと重症だ』と言い張る。『看護師さん、あなたもそう思うでしょ』と、言い始めたのです。そこで我々添乗看護師が何かしらの答えを口にするのは、職域を越えることになります。その場は医師が説明をくり返すことで、何とか収まったのですが、この患者さんは、旅行代理店にまで『対応がなっていない』と、訴えるほどでした」(馬場看護師)
それ以来、アテンダントナースでは、同じようなケースが発生すると、ナースがひとりで付き添うことはせず、必ず旅行代理店のスタッフなど、第三者を伴ってクリニックなどを受診するというルールをつくったという。 「アテンダントナースでは、添乗看護師として登録してもらう際、必ず事前研修を受けてもらっています。そこで添乗看護師としての心構えや、やらなければいけないこと、やってはいけないことをわかってもらう」(馬場看護師)
アテンダントナースでは、そうした『添乗看護師教育』を担当するポジションとして“アドバイザーナース”という役職を設けている。馬場看護師はその第1号だ。 「みなさん、現役の看護師さんなので、そちらのスキルは高いのですが、サービス提供者としての意識が低いことがままあります。そのまま添乗に出たのでは仕事になりません。事前に行う研修ではそういうところを中心に、しっかりレクチャーするようにしています」(同前)
■消灯後のナースのお仕事 食事も終わり、生徒たちが入浴を済ませると、やっとツアーナースも少しだけ落ち着くことができる。 「気がかりな生徒のいるクラスの部屋を覗いて、体調に関して変化や不安なことがないかを確認します。それが終わって、生徒たちの消灯後に、私たちツアーナースもお風呂を使います。少しだけほっとできる時間ですね。また、小学生が対象の旅行だと、不安からかホームシックや夜尿症が発生することもあります」