「肺に先天性障害」の中学生、弟と実現した修学旅行 「俺だってスプラッシュマウンテンに乗りたいよ」
「一般の看護師からすると、思いもよらないことがクレームにつながりかねません」と馬場看護師は言う。 「これは別の会社のナースに聞いたクレーム例ですが」と前置きして、馬場看護師はこんなエピソードを明かしてくれた。 「ある学校の修学旅行に添乗したナースの失敗談です。朝食の時間が8時からだったのですが、そのナースは8時ちょうどに食堂にやってきて、そのまま生徒たちと一緒に食事を始めてしまったのです。これが後に大クレームに繋がりました」(馬場看護師)
たしかに旅行の行程表には「朝食は8時から」と書かれていた。とはいえ、ツアーナースがその通りの時間で行動したのでは、仕事をしているとは言えない。 「せめて30分くらい早く食堂に行き、先生や生徒たちを出迎える。そこで声かけをして、ツアー参加者たちの体調をそれとなく確認する。我々添乗看護師からすると当たり前のことだけど、それを怠る人もいる。その場では何事もなく時間は過ぎたのですが、後日校長先生から直接連絡がきて『こんなことでは次回はお願いできかねる』と言われたようです」(馬場看護師)
他にも、自由行動後の集合場所に、両手いっぱいのお土産を抱えて帰ってきたナース。行った先のテーマパークで、アトラクションを楽しみすぎて集合時間に遅刻したナースなど、笑えないエピソードもある。 「観光地は楽しい場所です。ついつい気持ちが緩みがちなのは仕方ないけれど、私たちは仕事で行っているわけです。そこを履き違えると、次からのご依頼が途切れてしまいます。とはいえ、ナースとして正しく行動することが、逆にクレームにつながることもあります」(馬場看護師)
■旅先で客がケガをした場合はどうするか 医療従事者である看護師は、旅先でケガ人が出ると、対応を求められる。 「これは、弊社の添乗看護師の例なのですが。あるツアーでの出来事です。ホテルで、旅行客が火傷をしてしまったことがありました。当然ナースが対応します。重症ではなかったのですが、近所のクリニックに連絡を入れて、ナースが付き添って受診しました。ところがこれが後々、思いも寄らないクレームにつながったのです」(馬場看護師)