軽くて曲がる太陽電池、横浜港で実験 開発者の宮坂特任教授、実用化へ「一里塚に」
軽くて折り曲げられる次世代の「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の実用化を目指す実証実験が、横浜港で12日始まった。PSC開発でノーベル賞の有力候補者とされる、宮坂力・桐蔭横浜大特任教授が代表を務めるベンチャー企業などが実施。宮坂氏は「社会実装へのマイルストーンになれば」と期待を語った。 PSCは曇り空や屋内の弱い光でも発電が可能。シート状で軽いため交換しやすく、従来型の太陽電池では難しかった壁面や柱に張り付けるような使い方も考えられる。また、主な材料であるヨウ素は日本で多く生産されているため、国はエネルギー安全保障の観点からもPSCを重視し、普及を後押しする構えだ。 今回の実証実験を実施するのは、桐蔭横浜大発のベンチャー、ペクセル・テクノロジーズ▽半導体・IT関連商社のマクニカ(横浜市港北区)▽薄膜加工技術に強い包装材料などのメーカー、麗光(京都市右京区)-の3社。環境省からの受託事業として横浜港大さん橋で行う。 屋上の壁に約30センチ四方のPSCを二百数十枚張り付け、製法の違いによる発電効率の差や最適な取り付け方などを、来年2月まで約3カ月かけて検証する。今後の港湾施設での利用を想定し、潮風による劣化の進み方なども確かめる。 宮坂氏は、PSCの量産化が進めば「発電コストが石炭火力より安くなる」と将来性を強調。実証実験を通じ「多くの人にPSCの実物を見て、知ってもらえれば」との期待も込める。