コラピントの活躍に沸くアルゼンチン。F1開催復活に向けて動き出すも「多くのハードワークが必要になる」
フランコ・コラピント(ウイリアムズ)の活躍に沸くアルゼンチンは、F1開催復活に向けて第一歩を踏み出したが、すぐにそれが実現することはなさそうだ。 【F1ドライバーズランキング】コラピントはすでに2度ポイント獲得 アルゼンチンの元副大統領で、現在は同国の観光大臣を務めるダニエル・サイオリが、アルゼンチン自動車連盟会長のセサル・カルマンも交えた代表団を率いてサンパウロGPを訪れ、F1最高経営責任者(CEO)のステファノ・ドメニカリと協議を行なった。 アルゼンチンが目指すのは、1950年代に建設されたアウトドローモ・オスカル・イ・フアン・ガルベスでのF1アルゼンチンGPを復活させることだ。 この動きは、ウイリアムズからフランコ・コラピントがF1デビューしたタイミングと重なる。21歳のアルゼンチン人ドライバーであるコラピントは、ローガン・サージェントに代わってウイリアムズから今季ラストの6戦に出場している。 ウイリアムズの来季シートはすでに埋まっているが、その印象的なパフォーマンスによりレッドブル陣営が獲得に興味を示しており、コース外ではコラピントが母国のファンやスポンサーの関心を急増させた。 インテルラゴスで何千人ものアルゼンチン人ファンが自分たちのニューヒーローに声援を送っている間、シオリと彼の代表団はドメニカリと面会。アルゼンチンGPを復活させるために何が必要かを探った。 「私はコラピントがアルゼンチン人として生み出しているものをとても誇りに思っている」 そうサイオリはAutosportに語った。 「彼のカリスマ性、人間性、ドライバーとしての資質は素晴らしい。F1が成長し、より多くの期待を集めている今、F1は政治的、社会的な影響力を持つ、スポーツを超えたイベントになっているのだ」 F1側との会談について尋ねられたサイオリは、次のように答えた。 「アルゼンチンにF1を復活させる可能性に取り組み始めている。ステファノはアルゼンチンのことをよく知っているし、我々の国について最高の思い出を持っている」 「あらゆる種類のロジスティクスにおいて世界で最も洗練されたイベントの組織について話していることを念頭に置きながら、ミーティングを行なったが、非常に友好的なものだった」 「目的を達成するためには、多くのハードワークが必要だ。このイベント(サンパウロGP)のような洗練されたイベントに必要なすべての要件を踏まえると、我々はレーストラックの改善に取り組まなければならない」 サイオリはそれに何年かかるかは「組織次第」だと言い、スケジュールについては明言を避けた。 しかし、彼はAutosportに対し、ハビエル・ミレイ大統領の厳格な政策によれば、このプロジェクトが軌道に乗るにはもっぱら民間資金に頼らざるを得ないことを認めた。 メルカド・リブレやグローバントといったアルゼンチンのスポンサー数社がコラピントのF1参戦に素早く追随した一方で、ブエノスアイレスの南にあるサーキットを現代F1の基準に合わせるために必要な大規模改修プロジェクトを担うために必要な企業の関心をアルゼンチンが喚起できるかどうかはまだわからない。 またコラピントがまだ長期的なF1シートを見つけられずにおり、F1開催までに彼がF1に残っていられるかどうかも保証されていない。 F1はアルゼンチンからの関心の高まりを歓迎しているようだが、開催枠を確保するためには激しい競争を勝ち抜く必要がある。カレンダーの枠は年間24戦に限られているため、F1開催候補地となる国は、商業的にも長期的な持続可能性という意味でも、印象的な招致案を提示しなければならない。 F1は現在もアジアでの市場拡大を目指しており、タイと韓国で交渉が進められている。そのうえでF1は2026年以降のカレンダーに空きを作るため、ヨーロッパでの一部レースのローテーションシステムを準備している。 また来月にFIA授賞式が開催されるルワンダも長期的な開催候補地として浮上しており、アフリカ大陸でのレース開催というF1の長年の目標が達成されることになる。 一方、南アフリカ政府関係者が同国がF1復帰に近づいていると示唆する報道は時期尚早なモノだと理解されている。
Filip Cleeren