995cc2気筒エンジンを積む、SBKホモロゲーションマシンTL1000R
伝説は残せなかったが、その価値は認められつつある
装備やスペックで見ればライバルである916やVTRに劣らぬ装備を持つTL1000Rだが、レーサーレプリカ、いやレーサーベースと呼ぶべきバイクに不可欠の「勝利」という冠を得られなかった。それ故に伝説のバイクとはなり得ず、一時期は不人気なレアバイク的な扱いになってしまっていた。しかし、ここ最近中古車の値段はグングンと上がり続け、極上車であれば新車価格を軽く超えるプライスが付けられるようになった。程度の良い車体が少ないというのも価格上昇の原因ではあるが、1990年代後半から2000年代の初頭にのみ存在した2気筒1000ccというスーパーバイクのホモロゲーションマシンであるという、このバイクの価値が認められたとも考えられる。各部の作りの良さを見れば、SBKカテゴリーで勝利するために、いかにスズキがこのバイクを本気で作ったかがよくわかる。誕生から26年もの年月が経過し、部品の入手も難しくなってきてしまったが、維持していく価値のあるバイクの1台であることは間違いない。
TL1000R主要諸元(1998/国内仕様)
・全長×全幅×全高:2105×740×1125mm ・ホイールベース:1400mm ・シート高:815mm ・乾燥重量:197kg ・エジンン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒 995cc ・最高出力:93PS/8500rpm ・最大トルク:8.6㎏m/7000rpm ・燃料タンク容量:17L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=190/50-17 ・価格:108万円(当時価格)
後藤秀之