「まさに天国から地獄」投票用紙に「!」と書いてさえいなければ…わずか1票差で当選が無効 納得いかない市議会議員の法廷闘争
一方で、この判断が全てとも言えなさそうだ。公職選挙法の67条にはこんな記述がある。「68条に反しない限り、『その投票した選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない』」 実際、過去に最高裁が出した判断では、投票者の意思を尊重するよう求めている。 「記載された文字を全体的に考察することによって、どの候補者に投票する意思をもって投票したか判断できるときは、有効投票と認めるのが相当だ」 つまり、誤解を恐れずにいえば「投票した人がどういう考えだったかを総合的に考える」ということが有効票か無効票かを決めるポイントになるようだ。 ▽「!」が付けられただけで… では、栃木県選管が今回、無効とした2枚の投票用紙には一体、何が書かれたのか。 片山氏が昨年12月、栃木県選管の裁決取り消しを求めて東京高裁に起こした訴訟の訴状をみてみる。 それによると、1枚には「かたやまてるみ」の下に横書きで「ちゃん!!」と書かれた。一見すると、片山氏の名前であることに間違いない。小山市選管は問題にすらしなかったという。しかし、栃木県選管はこう判断した。
「『ちゃん』は敬称の類だが、『!!』は符号に当たる。他事記載だ」 片山氏側はこの点について、訴状で強く反論している。 「感嘆符は強調の意味合いを付ける表現としてしばしば用いられ、句読点に準じるものとして利用される」と指摘した上で、アイドルグループの「Hey!Say!JUMP」や「アイドリング!!!」など感嘆符を含む芸名やグループ名が72もあることを挙げて強調した。「敬称の類に含まれるべきだ」 ▽「払い」の方向で文字かどうか検討 もう一つの無効票は、「てるみ」の下に線と点のように記載されているものだ。実際は縦書きだが、横書きにすると「てるみー」または「てるみり」と読めなくもない。 この票については、小山市選管も栃木県選管も慎重に検討したようだ。 まず、これが文字の「り」に当たるかどうか。「り」だとすれば右の部分は上から下に書かれ、最後は斜め左に払われる。しかし、この無効票ではやや右側に払われていた。他の字の形状と見比べ、最終的に「文字ではない」と認定された。