4月から義務化――障害がある人への「合理的配慮」とは 負担と線引きは? キモは“建設的な対話”【#みんなのギモン】
■断っても提供義務に違反しないケース
菅原解説委員 「難しそうですよね。その線引きのヒントになるかもしれませんが、今回の義務化にあたって定められているのが、事業者側の負担が重すぎない範囲であることです」 「飲食店の事例で言えば、障害のある人から『食事の介助をしてください』、つまり食べるのを手伝ってくださいという申し出があっても、もともと食事の介助まで事業の一環として行っていない場合には、断っても合理的配慮の提供義務に違反しないことになります」 「また、対応する際には『建設的な対話』が重要とされています。事業者側は、前例がないからといってむげに断らない、配慮を求める側もどのような対応をしてほしいか事前に連絡するなど、対話をしてベストを探る努力をしてくださいということです」 森アナウンサー 「利用者側も気持ちを伝えて、事業者側もそれに応える努力をしましょう、対話をしましょうということですね」 斎藤佑樹キャスター 「『義務』と言われるとこちらは身構えてしまうんですけれども、お互いにとってベストを探るというのはどんな関係性でも大事なことですよね」
■意識すべきことは? 企業の研修を取材
菅原解説委員 「ベストを探るヒントにもなりますが、今回の義務化にあたり、私たちはどのようなことを意識したらいいのでしょうか? この考え方のヒントを探るため、義務化に向けた企業の研修を取材してきました」 「クラウド会計ソフトなどを手がけるフリーであった研修では、参加者が3人1組になり、『言葉を発するのが不自由な人』『目が不自由な人』『特に不便がない人』という役割で、前日の晩ご飯のメニューを伝え合うなどのコミュニケーションを体験しました」 「参加者からは『最初目が見えない状態で(研修を)やったんですけど、話の内容がメモれなくて飛んでいってしまって、何の話だっけ?となったのが自分は困りました』という感想が聞かれました」 「別の参加者は『どちらかの不便を解消することに集中してしまって、目が見えない人のことを配慮できていなかったとか、声が出せない人のことを配慮できていなかったとか、普通に発生するんだなということを実感したのが一番大きな気づきでした』と話しました」 「ワークショップの後の議論では、『どのような配慮が必要になる可能性があるか、常に準備するよう心がけるのが大事だ』といった意見が出ていました」 刈川くるみキャスター 「私も以前every.で、目が不自由な方に映画の内容を言葉で伝える取材をしました。一番難しかったのは、私が伝えたいことと、相手が知りたいことに差があることでした。ただその時、心を開いて話せば差が縮まるということも学びました」 「(フリーの)こういったワークショップで経験するのはものすごく大事だなと思います」