103万円だけじゃない!手取り収入への影響を徹底解説 「年収の壁」引き上げ、その実態と課題
働く人々の生活に大きな影響を与える「年収の壁」。石破首相が国会で引き上げを表明した「103万円の壁」を中心に、この制度が持つ意味と、実際に影響を受ける人々の声を探った。単なる数字の引き上げではない、複雑な課題が浮かび上がってきた。 【画像】社会保険料に関わる「壁」
「年収の壁」あなたは意識していますか?
「年収の壁」と一口に言っても、実は複数存在する。代表的なものが「103万円」だが、「106万円」「130万円」など、それぞれに意味がある。これらの壁を超えると、税金や社会保険料の負担が発生し、手取り収入に影響が出る仕組みだ。 10代の塾と飲食店でアルバイトをしている女子学生は、「(親から)103万って言われてます。『超えんように働いて』とは言われてます。扶養外れたら、親に迷惑掛かる」と語る。また、40代の夫婦は、「妻が扶養に入っているので、超えないように調整してます」と話す。 多くの人々が、これらの壁を意識しながら働いているのが現状だ。
「年収の壁」の正体とは
では、「年収の壁」とは具体的に何を指すのだろうか。 「年収の壁」には、「100万円」「103万円」など様々あり、定められた年収を超えると納税や社会保険料の負担などが生じる。このうち、税金に関わる「壁」は4つある。 中でも代表的な「壁」が「所得税」の支払いが発生する「103万円」だ。アルバイトやパートなど年収が103万円を超えた場合、超えた分に所得税がかかる。 一方、「106万円」と「130万円」は「社会保険料の壁」とも言われている。勤務先の従業員数(従業員51人以上)や働く時間によっては社会保険料の負担が生じるため、その分、手取りが減ることになる。
「壁」に直面し、転職を決意した女性の声
松山市のパイ専門店「Tsutsumi」で働く大森奈央さんは、「年収の壁」に悩んだ末に転職を決断した一人だ。 「前職が大きい会社だったこともあって、所得税の壁を仮に超えたとしても、結局、扶養内だと106万円の壁にぶち当たって、それを超えると社会保険に加入しないといけなくなる」と語る。 実は、転職の理由は「103万円の壁」ではなく、「106万円の壁」だったのだ。 大森さんが直面したのは、「103万円の壁」ではなく「106万円の壁」だった。従業員51人以上の企業では、年収106万円以上で社会保険料を自身で支払う義務が発生する。「社会保険に入らないといけない106万円、そこを意識して、そこを超えないようにパートで働いていました」と振り返る。 今の職場の従業員数は50人以下のため、その壁はない。「もっと働きたい」という希望が叶う職場だった。大森さんは「扶養の中で130万円まで働けるという私の条件と会社が求めているものとがマッチしたので、ここで働きたいなと思って転職しました」と語る。 しかし、次に直面するのが「130万円の壁」だ。年収130万円以上になると、誰でも社会保険料を払うことになり、手取りにも大きく影響が出るため、大森さんはこの130万円のラインを意識して働いている。 大森さんは「大幅に超えるのだったら諦めがつくというか、全然潔く払えると思うんですけど、『その1万円超えてしまったがために』っていうことはやっぱみんな避けたいのかなということは感じてました」と語る。