大切なことがニュースにならない日本のテレビ報道へ疑問をもつ30歳の相談者に、鴻上尚史が伝えた「テレビの報道のありかた」とは
自分たちの生活にかかわる事柄ほど、あまり報道されていないという現状に疑問を抱く30歳の相談者。なぜ「偉い人」たちは本当に大切なことを教えてくれないのか、日本の未来に希望を持つことができていないという。そんな相談者に、鴻上尚史が伝えた「テレビの報道のありかた」とは。 【相談223】 大切なことがニュースにならない日本に楽しい未来を描けません。なぜ日本は“未来”に向けての希望を持たせようとしないのでしょうか(30歳 性別未回答 ロン) 鴻上さん、こんにちは。こんな大人になってから気づくのって遅いと思われるかもしれませんが、どうして日本は大切なことを全く教えてくれないのでしょうか?大谷選手の通訳の方に関するニュースとか、ぶっちゃけどうでもいいです。でも連日狂ったように報道してますよね?かわりにインボイスや共同親権といった私たちの生活に関わりそうな事柄はほとんど報道されていないように感じます。 嫌な大人のクソ事情のせいですかね? 若い方々の自殺者数が多いのも、私はすごくわかります。だって今この世界に生きてたって、楽しい未来を描けるわけがないよなと思うから。 「どうしたら生きやすくなるのか?」。 もちろん、“今”を改善するのも大切だと思いますが、もっと“未来”に向けて希望を持てるようにしないといけないと思いませんか?どうして偉い人は皆本当のことや大切なことを教えようとしないのでしょうか?やっぱり自分や自分の回りが1番大事だからでしょうか?口の悪い投稿で申し訳ないですが、鴻上さんの意見を聞きたくて投稿しました。よろしくお願いします。
【鴻上さんの答え】 ロンさん。全然、「口の悪い投稿」じゃないと思いますよ。僕もここの所、テレビをつけるのが憂鬱になってきています。大谷さんは大好きだし、ホームランを打てば嬉しいし、がんばってほしいと思いますが、あきらかに報道の量は異常だと思います。 この前は、「大谷、セカンドゴロ」というニュース速報が流れていました。腰が抜けそうになりました。 僕はかつて、テレビが大好きでした。家にいる時は、いつもテレビをつけていました。朝起きた時も、帰宅した時も。それが、だんだんとつけなくなってきています。 それはやっぱり、自分が見たいもの、知りたいものがどんどんとなくなっているからだと思います。にぎやかな笑い声に満ちた番組になればなるほど、空虚な空気を感じてしまうのです。 さて、ネット社会と言われてますが、まだまだテレビの影響力は大きいと思います。ネットに日常的に接していない人が一定数いるからです。ネットにまったく接してない人は、共同親権の問題点も、インボイスの問題点も知る機会はなかなかないわけです。 先日、日本人女性カップルが、カナダで「難民認定」を受けたというニュースがネットで流れてきました。 朝日新聞デジタルの記事によると、「難民と認められたのは50代と30代の女性。日本で生まれ育った。職場や家族内で差別を受け続けたため、2 人で2021年にカナダに渡航。日本で受けた差別や、日本の法整備の現状などを記した200 ページ超の資料を提出し、面接や公聴会を経て23年9 月、難民と認められた」とあります。 日本は、難民を生み出す国になったのだと、僕は衝撃を受けました。 これなんか、ニュース番組のトップになるべき大変なニュースです。
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